2013 Fiscal Year Research-status Report
人の活動支援システムの構築を目的としたモデルベース3次元物体認識手法の開発
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24500209
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 誠 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (00274556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 勝裕 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00150516)
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Keywords | 3次元物体認識 / 多重解像度形状モデリング / 人間支援システム / 形状記述法 / 注視領域 / 混合分布モデル / 相互情報量 / 幾何学的照合 |
Research Abstract |
本年度は、以下の2つの計画について研究を進めた。 【計画4:注視領域に基づく階層的形状モデル推定法の開発】 【計画5:形状記述子の類似性に基づく照合手法の開発】 計画4では注視領域単位で多重解像度形状モデルを獲得する手法を開発し、任意の解像度で形状モデルを再構成できることを確認した。これにより高精度な3Dデータが与えられた場合に注視領域単位で解像度を調整した形状情報が取得可能になるため、物体認識への応用が期待される。また2つのカメラを搭載したARメガネを用いてシーン中の画像からユーザーが関心のある対象領域を半自動で選択し、その後も領域をトラッキングにより選択し続けるようなシステムを開発した。これにより注目領域中のある物体に関するメタ情報を呈示できるシステムの原型が構築できたといえる。さらに注目領域における2枚の画像からステレオマッチングにより低精度であるが3Dデータを取得可能であることが確認できた。しかし、その計算負荷が重く、リアルタイム性には課題があり、適切な処理に改善する必要がある。 計画5では、各注視領域から生成される形状記述子により照合する際、ランダムに行うのではなく、事前に物体形状を学習する際に生成した確率モデルにより計算できる相互情報量を算出することで計画的に照合すべき特徴点を選択する手法の開発に取り組んだ。実験により、認識の最終判断を行うまでの時間が短縮できることを確認できた。しかし、認識に失敗する場合もあり引き続き検証を行う必要がある。また、形状記述子の一つとして提案している形状ヒストグラムを用いた照合において、物体認識の精度を向上させるために、対応する特徴点の組が持つ位相構造に着目した部分グラフ探索アルゴリズムを導入した。その結果、全18体の物体を用いた認識実験では、従来よりも改善し約95%以上の識別率で認識できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で開発した注視モデリング手法により、注視領域ごとに分割して形状モデリングを行うことで、安定に対象形状を学習でき高精度な特徴抽出が可能となったことから、今年度に計画していた各種手法の開発についても順調に進行していると認識している。初年度の研究成果で確認されていた、物体認識時における形状記述子による投票数の僅かな違いで誤認識してしまう問題において、新たに部分グラフ探索アルゴリズムを導入することで、認識率が大幅に改善できたことは形状記述子の類似性に基づく照合手法を開発する上で大いに評価できると考えられる。 また、同時に、物体形状を学習する際に生成した確率モデルにより計算できる相互情報量を算出することで計画的に照合すべき特徴点を選択する手法の開発に取りくみ、一定の成果を得た。いずれの物体にも含まれているような平凡な形状を持つ領域が多い場合に、形状記述子の特性上、類似した記述を行ってしまうために、ランダムに照合を行ったのでは平凡な形状にひっぱられ誤認識してしまう問題に対して、この手法により大いに改善できるものと考えられる。残念ながら、認識精度にまだ改善の余地があるものの、多数の特徴点の照合には認識の最終判断を行うまでの時間が短縮するための欠かせない技術を開発していると自負している。 一方で、注視領域に基づく階層的形状モデル推定法においては、任意の解像度で形状モデルを再構成できるものの、物体認識へ応用するためには、注視領域の大きさや、形状モデルの解像度の設定をいかに行うかが本質的な問題として依然残されている。今後、これらの問題を解決すべく様々な改良が実現できれば、より現実的なモデルベース物体認識システムの構築が実現できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、引き続き2つのカメラを搭載したARメガネを用いてユーザーが関心を示した対象領域から取得される3Dデータの高精度化に臨みたい。一方で、現状ではこのデータの精度は低く、リアルタイムに取得することは困難なことから、この完成を待っていたのでは他の研究課題が進まない。したがって、こちらとは独立に、Kinectや3Dスキャナ等の別の計測装置を使って採取された3Dデータに対して、各種3次元物体認識手法の検証に取り組む予定である。 これまでの調査で、Kinectでは小型の物体の凹凸データは採取しにくい傾向にあるのに対し、3Dスキャナではそれらを得意とする傍ら、大型の物体のデータは採取できないといった特徴を持つことがわかっている。そこで、データベースに登録する際と認識を行う際に使用する計測装置をあえて変えることで、形状モデルを生成する際やそのモデルより特徴抽出する際に生じる様々な問題を洗い出し、実用的なモデルベース物体認識システムを構築する予定である。その際、特に、注視領域の大きさや、形状モデルの解像度の設定をいかに行うかといった本質的な課題を解決することで実用性を向上させる。また、部分グラフ探索アルゴリズムで用いる尺度について再検討することで更に認識精度を向上させたり、相互情報量に基づいて照合すべき特徴点を優先的に選択する手法においても精度を上げたりすることも取り組む予定である。 同時に現在開発中のKinectから得られる深度情報を用いて呼吸・心拍をモニタリングするシステムも継続して開発を行う。これらにより、人の活動、安全、健康を支援するシステムの開発に貢献したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
比較的大型の物体を撮影するために本年度購入を予定していたハンディタイプの3Dスキャナおよびそのソフトウェアが在庫不足により購入できなかったため、次年度使用額(191,417円)が発生した。 次年度では上記のハンディタイプの3Dスキャナおよびそのソフトウェアを購入し、既に購入済みのKinectや3Dスキャナ等の別の計測装置も併用して採取された3Dデータに対して、各種3次元物体認識手法の検証に取り組む予定である。 様々な大きさを持つ物体の3Dデータを取りそろえることで、形状モデルを生成する際やそのモデルより特徴抽出する際に生じる様々な問題を洗い出し、実用的なモデルベース物体認識システムを構築する予定である。
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Research Products
(13 results)