2013 Fiscal Year Research-status Report
能動耳介とロボット頭部の協調運動を用いた確率的音源定位
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24500210
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
公文 誠 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (70332864)
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Keywords | 音源定位 / 能動耳介 / ロボット聴覚 / 確率的状態推定 / 動作計画 / 国際情報交換(アメリカ合衆国) |
Research Abstract |
本研究は能動耳介とロボット頭部の協調動作を, 聴覚機能の高性能化の観点から考え,確率的音源定位手法を例に考案することを目的としている.24年度は頭部運動と耳介動作を組み合わせることで音源定位性能の改善が期待されることを明らかにした.25年度はどのような耳介動作が定位性能に寄与するかを研究した.頭部や耳介の動作により音の伝達特性が変化することを利用するこのアプローチでは,伝達特性の不確かさが定位性能に影響することが考えられたため,24年度までに提案してきた音源定位法を伝達特性に不確かさがある場合へと拡張する取り組みを行った. 1.不確かさを考慮した能動耳介の動作計画法:音源方向を推定する上で伝達特性を利用するが,この特性に不確かさが含まれると定位性能が低下する.音源方向や耳介姿勢によってこの不確かさの影響が変化することから,不確かさの影響し難い耳介姿勢を選ぶ戦略を能動耳介の動作計画法として開発した.実際の音データによる検証により,音源定位が雑音に対してロバストであった. 2.音響特徴量の不確かさを考慮した音源定位法:実際に観測される音響特徴量に含まれる不確かさを確率的変動として表現するよう音源定位法を拡張し,雑音等の影響を軽減する方法を提案し,音源定位性能の改善した. 3.耳珠を有する能動耳介:マイクロホン後面に設けた反射板である耳介の能動動作による音響特徴量の変化が本研究での重要である.一方耳介の大きさなどの制限からその変化が僅かな場合もあった.25年度は動物の耳珠を模したマイクロホン前面の板状の構造を設けることとした.この結果,取り付けない場合に比べ広帯域に耳介の効果を得ることが出来定位性能に寄与することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度までに確率的音源定位法と規範音響特徴量に基づいた能動耳介と頭部動作による音源定位法を考案し,この頭部動作との協調に向けた研究として実際の聴覚ロボットに実装しその性能評価を行うに至った.この結果,これまでの方法では音響特徴量に不確かさが含まれると十分な定位性能が得られないことがわかったため,本年度はこれに対する解決策として,この定位手法に不確かさを考慮した拡張を提案した.この方法で雑音等に対して一定のロバスト性を得ることが出来,また動作生成法として観測における不確かさの予測を考慮した評価規範による能動耳介の最適動作計画法を開発したところ,いずれも定位性能のロバスト化を達成した点で本研究にとっての進展があったと考えている. また,能動耳介の作用をより効果的にする方法として,動物を模した耳珠の導入を提案し,実際の実験により定位性能が改善することを示せた点も今後の展開が考えられ,進捗があったと言える. 一方,能動耳介と耳介を搭載するロボット本体である頭部の協調動作については継続的な研究の必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
24,25年度を通じて,確率的音源定位法による能動耳介による音源定位と,能動耳介の動作による定位性能の向上を図ってきた.26年度はこれまでの成果を元に,能動耳介の動作とこれを搭載するロボット頭部の動作の協調について研究する方針とする.ところで,これまでの研究から耳介の形状・大きさが定位特性に影響することも分かっており,開発した能動耳介を搭載出来るロボット頭部は比較的大規模なものとなる恐れがある.研究の本質は,能動耳介とロボット本体との協調にあると考えられるので,能動耳介を例えば移動ロボットのような他のロボットシステムとの組み合わせなども検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概ね予定通りの執行を行ったが,当初予定の装置部品等で安価なものを購入するなどしたため,26年度での実施時に実験部品等の購入に充てるために次年度使用とした. 電子部品もしくは機械部品等の実験部品の購入に充てる.
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Research Products
(6 results)