2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平山 亮 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (70329374)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 舌 / 調音運動 / 音声生成 / 外舌筋 / 模型 |
Research Abstract |
本研究は、舌の調音機構解明、音声科学教育、構音指導、発話ロボット部品開発などに役立てるため、舌の調音運動模型を作成するものである。 初年度である今年度は、まず、材料及び各種模型製作器具、工具、接着剤等の消耗品を入手し、筋線維の実装はともなわない、ウレタンゲルによる形状的な模型の試作を行った。形状データは、各種解剖学資料、医療用模型、MRI断層撮影データなどから、CADソフトウェアにより形状設計し、硬質材料による原型を作成した。その原型を用いて、ウレタンゲルを流し込むための型を作成した。できあがった型にウレタンゲル材料を流し込み、舌の形状模型製作を行った。 次に、舌の形状模型に、合成ゴムあるいはナイロン糸といった素材による擬似的な筋を埋め込むための第1段階として、合成ゴムバンドで実現する簡単な、単純化モデルを設計した。各種解剖学的資料を活用し、舌形状模型の中に、ゴムバンドの疑似筋を埋め込んだ模型を製作した。これらの筋模型は模型の外側からあやつり人形のように引っ張れるようにした。オトガイ舌筋前部(Geneoglossus anterior)、オトガイ舌筋後部(Geneoglossus posterior)、茎突舌筋(Styloglossus)、舌骨舌筋(Hyoglossus)の外舌4筋の模擬筋を合成ゴムバンドで作成した。完成した模型を台に固定し、各筋に相当するゴムを引っ張って、母音調音時の舌の変形をシミュレーションした。単純な筋模型ではあるが、おおよその舌体の重心移動及び変形を観察できた。そして、ここまでの成果について学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模型製作に関してはほぼ予定通りに実行できている。当初予定では、内舌2筋の模型作成をまず行う計画ではあったが、順番を変えて、外舌4筋の模型作成を先に行った。舌運動の計測データを得るために、舌接触計測装置(パレトグラフ)を導入して実験する予定であったが、購入予定機種が、古いOSにしか対応せず、古いOSが入手不可能かつ保守期間終了で導入できないため、次年度以降、最近のOSに対応した機種が発売されるのを待って導入することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降については、研究環境が変わったことにより、工作器具等の再構築を行い、舌模型製作を継続する。当初計画と順序を変更し、オトガイ舌筋前部(Geneoglossus anterior)、オトガイ舌筋後部(Geneoglossus posterior)、茎突舌筋(Styloglossus)、舌骨舌筋(Hyoglossus)の外舌4筋による母音調音時の舌位置移動模型作成を行っているが、繰り返し、次第に精度を上げて模型製作に取り組む。今年度は、内舌筋である上縦舌筋(Longitudialis linguae superior)と下縦舌筋(Longitudialis linguae inferior)の拮抗関係による舌先の上へのそり、下への向け、舌の前後長の短縮を実現できる模型作成へと進展させる。また、舌のデータ取得のための舌運動計測及びコンピュータグラフィクスでのシミュレーションをできるように環境整備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度においては、舌体のモデル作成に使うウレタンゲル及びその作成器具を導入し用いてきたが、次年度以降は、エンジニアリングウッドなど硬質の材料の切削機(モデラ)など、あごの骨や歯の部分がある程度作成できるような器具をそろえる。今年度購入ができなかった舌接触計測装置(パレトグラフ)の新機種発売開始の状況を見て導入可能であれば導入する。コンピュータグラフィックスシミュレーションのためにグラフィクスワークステーション用のソフトウェアを導入する。模型の各種素材の材料費が必要となる。また成果発表のための旅費として使用する。
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