2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500220
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
平山 亮 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (70329374)
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Keywords | 舌 / 調音運動 / 音声生成 / 外舌筋 / 模型 |
Research Abstract |
本研究は、舌の調音機構解明、音声科学教育、構音指導、発話ロボット部品開発などに役立てるため、舌の調音運動模型を作成するものである。 当該年度は、研究代表者の所属変更でゼロからの研究環境再構築をしなければならなくなり、前半は、主に場所の確保や物品の購入と設置・設定などの研究環境構築作業を中心に行った。環境構築後は、前年度と同様の模型製作をまず行った。すなわち、硬質材料の原型を用いて型を作成し、ウレタンゲル材料を流し込み、舌の形状模型製作を行った。次に、ゴムバンドの疑似筋を埋め込んだ模型を製作した。 後半は、外舌筋及び内舌筋の形状及び運動をよりわかりやすくするため、前モデルを分割した模型作成を行った。模型の着色についても検討し、ゲル素材による模型では、舌の色に近い色を基本色の顔料を組み合わせて調製し、前年度に作成したものよりもリアルな模型の作成に成功した。また、前モデルは、ゴムバンド等では、正確に動かせなかったため、それに代わるものとして、各種の素材で試作するなど、基礎的な試作を繰り返して行った。パーツに分割した模型についてはその成果を学会発表した。 オペレーティングシステムのサポートの終息により当初導入予定のパレトグラフ(舌―口蓋接触計測装置)が導入できなくなった。そのため舌の形状及び運動を計測する方法を再検討し、磁気式モーションキャプチャ及び核磁気共鳴を利用した計測システムを利用することとした。これらの装置を使った舌計測実験の計画を策定した。実験装置はレンタル利用することにし、パレトグラフを購入する予定だった物品費を装置レンタル料にあてた。磁気式モーションキャプチャ装置を使った舌計測を行い、現在、取得データの分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更により、ゼロからの研究環境の再構築を行ったが、研究場所の確保や物品購入などについて手間取ってしまい、研究の進捗が遅れてしまった。年度後半では遅れを取り戻せるよう本格的に取り組んだが、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究環境の再構築はほぼ完了した。最終年度に入るので、当初計画通りの研究が遂行できるよう、本研究課題に優先的に取り組む。オトガイ舌筋前部(Geneoglossus anterior)、オトガイ舌筋後部(Geneoglossus posterior)、茎突舌筋(Styloglossus)、舌骨舌筋( Hyoglossus)の外舌4筋による母音調音時の舌位置移動模型作成、内舌筋である上縦舌筋(Longitudialis linguae superior)と下縦舌筋(Longitudialis linguae inferior)の拮抗関係による舌先の上へのそり、下への向け、舌の前後長の短縮を実現できる模型作成等、模型製作作業を行う。また当初の計画を発展させて発話に関する音声研究の応用分野として福祉分野への利用可能性を検討する。 当初の研究計画で導入予定だった舌-口蓋接触計測装置パレトグラフについては、オペレーティングシステムへの対応を待って導入する予定であったが、対応したバージョンが発売されなかったため、導入を断念した。かわりに舌運動計測に関しては、磁気式モーションキャプチャにより舌運動を測るシステム及び核磁気共鳴を利用して舌形状を測るシステムを、計測実験時のみレンタル利用する形で、発話時の舌形状及び運動データを得ることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の所属変更のため、研究環境の再構築に時間をとられ、研究の進行が当初計画に比べやや遅れていて、研究発表の回数が当初予定より少なかったことで旅費が少なかったことが主な理由である。 今年度の研究の遅れを取り戻し、繰り越した分に関しては、国際会議を含め成果発表の旅費に充当する予定である。
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