2013 Fiscal Year Research-status Report
初等中等教育における教育・学習支援のための音声言語処理の研究
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24500225
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
南條 浩輝 龍谷大学, 理工学部, 助教 (50388162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 博光 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (40362082)
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Keywords | 音声言語処理 / 音声認識 / 初等中等教育 / 教育支援 / 学習支援 |
Research Abstract |
本研究は、初等中等教育における授業音声の再利用システム(教育支援・自習支援システム)の基盤形成を目指して、1)授業の収録(コーパス作成)と分析、2)授業音声の音声認識、3)授業音声のデータベース化と検索、に主な焦点をあてている。本年度の研究実績概要は次の通りである。 日本語の子供向け授業音声のコーパス化を推進した。具体的には、男性・女性教師あわせて14名による44授業(小学校低、中、高学年対象)の音声を収録し、書き起こしテキストを付与した。このコーパスは、話者、授業内容および授業対象の違いに頑健に動作する授業音声の再利用システムの基盤形成に重要なものであり、意義深い。 教師発話の音声認識向上のための研究、具体的には、言語モデルと音響モデルを研究した。言語モデルについては、WEBテキストから子供向け表現を抽出してモデル化する方法を検討した。また、利用可能な子供向けテキストから、擬似的な子供向けテキストを自動生成しモデル化する手法の可能性を模索した。音響モデルについては、深層ニューラルネットワークを用いたモデル化を行い、従来手法よりも優れることを確認した。子供向け授業の音声認識が難しいことを確認した。 教育・自習支援システムのための要素技術、具体的には、発話中のキーワードの個所を取り出す音声検索語検出、および、知りたい内容が話されている箇所を取り出す音声内容検索について研究を推進した。その際、音声認識精度が低い子供向け授業音声を対象としても頑健に検索できる手法を検討した。さらに、検索ユーザインターフェースを実装した。教育・自習支援システムを実用的なものとするための必要最低限の目指すべき音声認識精度や検索精度は、被験者実験を通じた解明が望ましく、ユーザインタフェース実装は意義深い。 研究の効率的な遂行のための情報収集を実施し、研究成果の報告・公開を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子供向け授業音声の収録と分析(コーパス化)を順調に実施できている。種々の子供向け授業の音声認識システムの構築や評価を推進しており、音声認識の問題点の把握と改善のための指針が得られつつある。音声を対象とした検索技術の高精度化について研究を推進できている。実用的な教育・自習支援システムの構築にとって目指すべき音声認識や検索の指針を得るための被験者実験に重要な検索ユーザインタフェース実装を行えた。以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コーパス作成: 子供向け授業のコーパス化をさらに推進したい。単なるテキストだけでなく、様々な情報を付加したコーパスとしたい。たとえば、音響的側面からは、発話速度やF0およびそれらの変動、間の取り方、発音の明瞭度などを、言語的側面からは、子供向け表現、呼びかけ表現、などの情報を付加したい。 音声認識: 音声認識の高精度化を推進したい。現在推進中の言語モデルと音響モデルの研究の発展や、複数モデルを用いた音声認識方式および結果の統合的利用などについて研究したい。 データベース化・検索: 要素技術としての音声を対象とした検索技術の研究や、授業音声の再利用システム(教育支援・自習支援システム)のためのユーザインタフェースに関する研究を推進したい。インターフェースの研究推進に関連して、目指すべき音声認識や検索方式・精度を明らかにしたい。 研究の効率的な遂行のために、情報・資料収集を実施し、研究成果の報告・公開を推進したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な理由は次の通りである。(1)利用可能な物品をつかっていくつかの実験を行えたことにより、物品費の支出を予定よりも少なくできたため。(2)論文掲載費が採録時期の関係で2013年度でなく、2014年度に必要となったため。(3) いくつかの成果報告のための旅費が不要となったため。 実験をより推進するために、高性能計算機や被験者実験用のタブレット型計算機などの導入を行う予定である。また成果の保存と公開に向けて、データ保存媒体および成果公開用計算機を導入する予定である。旅費として、成果報告・情報収集のための費用を支出予定である。人件費・謝金として、データ収録・整理補助のための費用を支出予定である。その他の費用として、成果投稿料・掲載費・通信費を支出予定である。
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