2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (30356159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東川 佳靖 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (80356196)
山本 敦 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (90462754)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筆跡 / 質感 / 偏角画像 / 複眼光学系 / 画像センシング |
Research Abstract |
今年度は,筆跡画線の質感と密接な関係にある偏角分光反射特性を効率的に取得するための画像センシング装置の構成について検討をすすめた. 装置の構成要素は,昆虫の眼のような複眼光学系を有する複眼カメラと,試料を傾斜して設定するための試料台である.複眼カメラは,対物レンズ(凸レンズ)と2×2のレンズアレイ(複眼光学系),並びに12方向の照明光源によって構成されたものである.複眼カメラでは,凸レンズによって反射角度が異なる光線が平行光化され,その後段に存在する複眼光学系により,2×2の複眼画像が得られる.各個眼像では,観察角度がわずかに異なる画像が取得される.なお複眼カメラは,本研究開始以前に構築したものである.試料台は,試料を法線方向に対して15°傾けて設置するための傾斜台であり,照明光源からの鏡面反射光成分を複眼光学系に入射させるために導入した. 画像撮影実験では,普通コピー紙に黒色ボールペンで書いた漢字「採」を試料として,上記装置で複眼画像を取得した.その結果,各個眼像での観察角度の違いにより,筆跡画線の光沢が局所的に変化する様子が捉えられた.4つの個眼像が1回の撮影で同時に得られており,筆跡画線の質感の効率的計測の可能性が示された. しかしながら現有の複眼カメラの活用での限界も明らかとなり,個眼数2×2の場合,中央の個眼が存在しないために試料の位置合わせが困難であり,光沢変化の方向性を把握しにくいなどの問題が生じた.また表面の陰影を顕在化させるためには,試料をさらに傾斜させる必要があり,画像取得上の問題が生じることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筆跡画線の質感と関係する偏角分光反射特性を取得するための画像センシング装置の構成について,計画していた実験が終了し,予定していた検討を終えた.装置の構成要素である複眼カメラについて,次年度に取り組むべき課題が明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果を踏まえ,画像センシング装置を改良するとともに,当初の研究実施計画どおり,以下の課題に取り組む.①物理的指標と書字運動との関連について,複眼画像情報から得られた偏角分光反射特性(物理的指標)とオンライン筆跡データ(書字運動)との関連を調査する.②専門家による主観評価と書字運動の関連について,筆跡鑑定の専門家による主観評価と書字運動との関連を調査する.③物理的指標と主観評価との関連について,物理的指標と主観評価との関連を調査し,専門家の主観評価を反映した指標を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,所属研究機関に現有の機材を有効活用する計画であり,複眼カメラについても同様に想定していた.しかしながら研究推進の結果,従来装置をベースに構築する方法では,上記「9.研究実績の概要」で述べた問題が生じたことから,新たに個眼数3×3の複眼カメラモジュール部を導入し,問題の解決を図ることとしたい.ついては今年度の予算のみでは取得困難であることから,研究費の一部を繰り越して次年度分と合わせることにより,所望のシステムを構築する計画である.
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