2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500232
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (30356159)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東川 佳靖 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (80356196)
山本 敦 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (90462754)
|
Keywords | 筆跡 / 質感 / 偏角画像 / 複眼光学系 / 画像センシング |
Research Abstract |
筆跡鑑定では,文字の形状だけでなく,画線のかすれやインクの滞留など,筆跡画線の質感にも着目することが重要である.そこで本研究では,質感と密接な関係にある偏角画像情報を効率的に取得するための複眼画像技術を開発し,質感の記述に有効な指標を導出することにより,計測に基づく筆跡画線の評価法を確立することを目指している. 本年度は,まず,前年度の研究成果を踏まえ,画像センシング装置の改良をおこなった.個眼数3×3の複眼カメラモジュールを導入したことにより,観察方向数が増加するとともに,中央の個眼の存在により,個眼画像の位置合わせが容易となった. 次に,撮影対象となる筆跡の採取を行った.タブレットのインクペン(ボールペンタイプ)を用い,縦,横,左右斜め方向の直線を筆記することにより,コピー用紙上に筆跡を採取すると同時に,オンラインデータ(各時刻に対する座標,筆圧,ペンの傾き等)を取得した.その結果,筆圧に関しては,始筆部から終筆部に向かって上昇する傾向が認められた. 続いて,採取した筆跡を画像センシング装置で撮影した.(1)斜光線照明で陰影を顕在化する方法,(2)同軸落射照明で正反射光を検知する方法を試したところ,ボールペン画線の場合,画線底部での光沢とその変化,画線の濃淡による太さの変化を同時に観察できるため,(2)の方法が有利と考えられた. さらに,専門家による質感評価用語の検討をおこなった.画線の質感の表現に用いられる語句や表現には,さまざまな種類が認められたが,筆跡鑑定の性質上,筆記時の不自然さの有無にまつわる情報を得る意図が背景にあると考えられた.画線の窪みの状態から,筆圧やその変動について考えを述べることは,その一例であった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の課題となっていた画像センシング装置の改良が完了し,計画していた実験が終了した.予定していた検討を終え,次年度に取り組むべき課題(物理的指標と主観評価値との関連付け)のポイントが明らかとなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ,筆圧にまつわる項目を重点的に研究をすすめる.当初の研究実施計画どおり,画線の光学的特性や筆記動作のオンラインデータと,主観評価との関連を調査することにより,専門家の主観評価を反映した指標の確立を目指す.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,年度内2月開催の国際学会での成果発表を想定していたが,その後,翌年度4月に,より専門分野に特化した国際学会が開催されることが判明した.効果的な成果発表が期待できることから,翌年度4月の学会に出席することとした. 上記国際学会での成果発表に要する旅費及び参加費に充当する.
|