2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24500232
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 主任研究官 (30356159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東川 佳靖 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (80356196)
山本 敦 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (90462754)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筆跡 / 質感 / 偏角画像 / 複眼光学系 / 画像センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
筆跡鑑定では,文字の形状だけでなく,画線のかすれやインクの滞留など,筆跡画線の質感にも着目することが重要である.そこで本研究では,質感と密接な関係にある偏角画像情報を効率的に取得するための複眼画像技術を開発し,質感の記述に有効な指標を導出 することにより,計測に基づく筆跡画線の評価法を確立することを目指した. 平成24年度は,本研究開始以前に構築した複眼カメラと,試料を傾けて設置するステージを組み合わせて, 偏角反射画像の撮影実験を行った.普通コピー紙に黒色ボールペンで書いた漢字「採」を試料としたところ,各個眼像での観察角度の違いにより,筆跡画線の光沢が局所的に変化する様子が捉えられた. 平成25年度は,個眼数3×3の複眼カメラモジュールと同軸落射照明を導入し,画線底部での光沢と濃淡を同時に観察できることを確認した.専門家による筆跡画線の質感評価用語について検討し,筆記時の不自然さの有無にまつわる情報を得る意図が背景にあることを把握した. 平成26年度は,複眼画像を解析し,画線底部の光沢について筆記方向への連続性を評価した.その結果,筆圧の増加にともない,画線幅に対する画線底部の光沢部の割合が高くなる傾向がみられた.また,局所的な凹みを反映した光沢形状から,筆継ぎ,停滞などの不自然な部分を把握することも可能であった. 以上の研究により,複眼画像情報に基づき,専門家が着目する筆跡画線の質感について,その一側面をセンシングできる見込みがあることが分かった.
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