2013 Fiscal Year Research-status Report
集合知を用いた遠隔コンサルテーションシステムの開発
Project/Area Number |
24500243
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
矢島 敬士 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (10385487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒沢 学 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (50328514)
澤本 潤 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (50438082)
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Keywords | コンサルテーション / 集合知 / ライフログ / 遠隔相談 / エージェント / 相談履歴 |
Research Abstract |
平成25年度は,平成24年度と同様に研究分担者と大学院生1名の研究体制で研究を進めた。大きくは、(1)遠隔相談システムの評価と(2)介護サービスへの適用検討を行った。具体的には、教育心理学会の大会において、本テーマのシンポジウムを開催し、これまでの研究内容を発表し、外部識者の評価を頂いた。具体的には、(a)介護・福祉分野への適用に関しては、要介護者のQoLを向上させる工場のために、「ソーシャル・サポート」「対人関係」の視点を加えていく必要がある点を指摘された。(b)介護・福祉分野において、開発するシステムの使用者を明確にすることが必要である点を指摘された。特に、この分野では、単に専門家と相談者という単純な関係だけではなく、制度的な要素、加齢に伴う要素、心理学的な要素の検討が不可欠との指摘を受けた。 本シンポジウムの結論として、遠隔相談機能に関しては、ほぼ完成したものと評価されたものと判断し、今後は介護システムの検討に重点を移すこととした。 ライフログに関しては、介護における声かけの音声データを利用し,その音声データから介護内容を推測することにより,入力の手間を少なくすることで,システム利用者の負担を抑えつつ,介護施設における介護サービスの状況把握に関する検討とプロトタイプシステム実装・評価を行った。 介護システムに関して、介護関係者のニーズと機能に関するヒアリングを行い、課題解決の方向を検討した。介護関係者の主要なメンバを明らかにし、それぞれの基本的な役割分担を明確にするとともに、これら関係者のヒアリングを実施し、介護現場の実態を明らかにした。その中で、輻輳した介護問題を解決するためには、ケアマネージャの役割が大きいのでケアマネージャをリーダーとした集合知の形成方式の検討を行った。検討の中で、集合知形成のためには、関係者の間での認知共有が欠かせないことを明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、全体計画にそってほぼ計画通りに研究開発を進めることが出来た。その具体的な達成度評価は以下の通りである。遠隔相談技術については、ほぼ実用化の見通しがついた。現在作成したプロトタイプで、すでに相談時間の短縮が明確になっている。さらに、ユーザインタフェースの改良により、さらなる効果が見込まれる。 介護・福祉分野への集合知の適用に関しては、まず、介護・福祉分野における関与者とその特性が明らかになった。この調査により、集合知活用の際の、各関与者の役割分担が明確になった。今後この役割の応じた、情報の配信、交換方式を検討していく。 集合知の活用の基盤として、関与者間での情報共有が必要であり、これがなされていないことが調査により明確になった。同時に、集合知の活用方式に関する事例調査を実施した。今後、いくつかの代替案の評価を行い、最終的に介護・福祉分野に適応した方式を採用する予定である。 同時に、採用した方式を、具体的に介護関与者の間で活用する方式を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
集合知を用いた問題解決には、2つの側面があることが検討の結果、明確になってきた。1つは、集合知を創出するためには、関与者の間での認知共有が必要なことである。そのため、この認知共有支援のための技術を開発する。これを活用して介護関係者の問題発生時の情報共有に関する技術を開発する。 同時に、2つ目の課題として、集合知形成のリーダーであるケアマネージャーが、集合知を検討する「場」を形成するための技術を開発する。集合知を創出するためには、「場」の形成が不可欠である。ケアマネジャーが、介護関与者の間から、適切なメンバーを選出して「場」を形成する技術を開発する。その際、選出するメンバーは、それぞれが異なった分野、技術を持つ人であることが必要である。そこで、問題に対応して、ケアマネージャが、有望なメンバーを選出できる人材情報ベースを構築する。 最後に、集合知を創出する際には、選ばれたメンバーの間での対話が重要である。この対話によって、異なった意見や議論の矛盾が明らかになり、これらを解消することにより、集合知が形成される。その際に、個々の意見の対立関係や矛盾関係を見える化して、その後の議論を円滑に進めるインタフェースが有効である。このようなインタフェースは、ケアマネージャ自身が作成するのではなく、ケアマネージャを支援するエージェントの役割と考える。したがって、集合知形成を進めるために、ケアマネージャを支援するエージェントの構想を固める。
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