2012 Fiscal Year Research-status Report
生活密着型認知リハビリテーションの遠隔支援方式と在宅リハビリ効果に関する研究
Project/Area Number |
24500245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 睦夫 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (30351464)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知リハビリテーション / 生活行動認識 / 生活行動ナビゲーション / 危険行動予測 / 生活環境構造化 / 見守り支援 |
Research Abstract |
認知機能障害者の介護負荷軽減および日常生活行動を通した自立促進を目的とし,遠隔認知リハビリという新しいリハビリ方式の確立に向けた取組として,下記の2点から研究を実施した. 1.生活空間の環境構造化と安心なリハビリ進行支援 色相情報と3次元SIFT特徴を併用した生活空間における物体認識方式を,料理器具に対して適用しほぼ良好な認識結果を得た.また,人間の動作と危険対象物とのインタラクションによる危険度マップを作成し,危険率推定を行うアルゴリズムを構築し評価を行った(大会発表2件).また,ウェアラブルデバイスによる行動認識を実現するために,加速度センサによる動作推定方式を検討し,典型的な日常行動推定に対して高い認識率を実現した.スマートフォンを用いたリハビリ進行支援方式も同時に検討した(大会発表2件).赤外線カメラを購入し,熱画像センシングによる見守り支援の検討も行った. 2.認知障害モデルに基づくインタラクション制御 認知障害パターンに適応した認知リハビリの総括を行い(ジャーナル論文1件,国際会議1件,研究会1件),映像分析による行動評価・リハビリ効果分析を行った(大会1件).遠隔認知リハビリインタフェースにおける遠隔介護者の視線分析を行い,構成要件の検討を行った(研究会1件).さらに,障害者個人に適合した最適なインタラクション制御を目指し,五感インタラクションによる直観的刺激に基づき共同注意を促すエージェントを提案し,料理行動における直観的な気づきを誘発するインタラクションモデルの評価を行った(研究会1件,大会1件).同時に,感情に基づき対話生成を行うエージェントの実装を行い,新しいインタラクションの方向性を示した(大会1件).高次脳機能障害を再発しないための食生活行動改善を織り込んだ新しい認知リハビリを9か月,延べ9人に対して実施し,個々の障害者に対して評価を行った(研究会1件).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生活空間の環境構造化と安心なリハビリテーション進行支援では,料理行動を中心として,危険行動を予測し,事故を未然に防ぐ安心な認知リハビリテーションを提供するための基本技術の確立ができた.一般の生活タスクへの拡張については,ロボット視覚だけでなく,ウェアラブルセンサや環境に埋め込まれたセンサに基づき,基本的な動作認識を行う方式に着手でき,実運用への方向性を確認できたことは進歩である.能動的視覚による情報獲得についてはさらに進めていく.一方,認知障害モデルに基づくインタラクション制御では,障害者個人に適合した最適なインタラクション制御として,個人の状況に応じて直観的な気づきを誘発するインタフェースや情動に働きかけるインタフェースを基にデザインできたことは進歩である.さらに,高次脳機能障害を再発しないための食生活行動改善を織り込んだ新しい認知リハビリテーションプログラムを9か月に渡り実施し,個々の障害レベルに応じた遠隔認知ナビゲーションの実施・評価を行えたことは,今後研究を進めていく上で大きな成果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
料理行動から生活全般まで適用範囲を拡張した認知リハビリを大阪府立障がい者自立センタ内の遠隔環境下で実施する.なやクリニックにも協力を頂く.認知症患者に対する在宅リハビリ評価データを取得するため,新たに,京大医学研究科の久保田正和助教に協力を頂く.昨年,食生活改善行動に基づく生活密着型認知リハビリプログラムを新たに実施したが,引続き,京都府大生命環境科学研究科・大谷貴美子教授,松井元子准教授,村元由佳利助手,光森洋美博士課程院生に研究協力を頂く.氏田亮氏(芝工大修士課程1回生,遠隔インタフェース)に昨年新たに研究協力を頂いたが引続き協力を頂く.大阪工業大学側の新たな研究協力者として,大井翔氏,松谷雄太氏,高潔氏(同大学修士課程,アルゴリズム作成・検証)を計画しており,研究発表の参加費・旅費を計上したい.卒業研究ゼミ学生は研究補助として位置付ける. 平成25年度前半は,気づきの誘発に基づく自立支援に着手し,遠隔認知リハビリ支援プロトタイプを完成させる.平成25年後半からは,リハビリ施設内での遠隔認知リハビリ実験を通して,リハビリ効果を検証する.本研究では,対話ロボットの共感機能が重要と考え,共感のタイミング制御や共感会話コンテンツの学習方式等に取組む.欠落行動や危険行動が生じた場合への適用システムとして,危険行動事例因果関係DBに基づく対話ロボットに取組む. 以上の研究計画に対して,実験推進のための出張旅費,料理リハビリ実験のための食材購入も含め,タブレットPCや,高速なノートPC,カメラ類等の備品,センサ,ロボット用部品,表示機器部品,ネットワーク機器,映像記録用ビデオ類等の購入,国際会議2件程度(海外),国内研究会・大会4件程度,必要に応じた情報収集,英語論文の翻訳を予定している.在宅認知リハビリ実験協力者(認知障害者)への謝金を本研究費で賄いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度は,主として在宅での遠隔リハビリテーションを推進し,自立へのステップとしての効果を検証する. 在宅での遠隔認知リハビリテーション実験の実験参加者(認知障がい者)への謝金は,必要に応じて計上する.実験に関わるセンサ,ロボット用部品などの購入に消耗費を充てたい.26年度の成果発表としては,「遠隔認知リハビリテーションの効果検証」,「遠隔認知リハビリテーションシステムの運用評価」で国際会議・国内ジャーナル論文各2件を想定しており,海外発表出張2件,ジャーナル論文提出の前段階での国内発表出張件3~4件程度は本研究費で賄いたい.英語論文の翻訳・英文チェックも予定している.さらに,研究成果PRのための成果の総括資料作成の経費も想定している.
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Research Products
(13 results)