2012 Fiscal Year Research-status Report
視覚運動系を題材にした2者間実時間相互作用の最適化機構の解明
Project/Area Number |
24500246
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
石田 文彦 富山高等専門学校, 専攻科, 准教授 (20345432)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / 知能ロボティクス / 神経科学 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は,社会性動物の生存にとり重要な他者との協調性(コミュニケーション)について,運動先行性を特徴とする人の感覚運動制御におけるプロアクティブ制御を鍵にして,コミュニケーションの実態を明らかにし,コミュニケーションの定量的研究の基盤を確立することを目的とする.本年度の成果は以下の通りである. 1.独立視覚目標運動追跡実験系の構築し,円運動追跡運動実験を実施した.円軌道上の水平2点,垂直2点,ランダム2点について,視覚目標運動に応じて,ビープ音を与え,運動先行性と運動リズムとの関係を調査した.視覚目標との位相差,および,運動速度スペクトルより,手動運動の先行性,視覚目標周波数の倍のリズム成分の大きさについて,水平 > ランダム > 音刺激なし > 垂直の結果が得られた.これは,運動速度リズムと先行性に関連がある,また,外部からの刺激により,運動先行性を制御できる可能性を示唆する. 2.遅延フィードバック・フィードフォワード制御系からなるプロアクティブ制御モデルを用いて,運動先行性を示すシステムの条件を調査した.1.の結果から,運動速度に関連するフィードフォワード成分にリズムを与え,その強弱のタイミングとフィードバック系の関係を運動先行性に関して,数値実験を行った結果,フィードバックとフィードフォワードが相補的に動作するときに運動先行性を示すことがわかった. 3.2.のモデルを相互結合し,コミュニケーションモデルの数値実験の準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は,運動先行性と運動速度リズムとの関係を明らかにすることで,そのため,独立視覚目標運動追跡実験系の構築および実験の実施,追跡運動モデルのフィードバック,フィードフォワード成分と運動先行性および運動速度リズムとの関連を調査,追跡運動モデルの相互結合し,相互作用を基にしたコミュニケーションの数値実験の準備を計画した. 研究実績の概要の示す通り,ほぼ計画通りに研究を遂行したと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題は,相互作用実験により実験参加者の運動特性と速度相関特性との関係を定量的に求め,コミュニケーションの定量的評価方法を確立することである. 申請備品を活用し,相互視覚目標運動追跡実験系を構築し,相互追跡実験を実施する,運動速度のリズム成分等に着目し,速度相互相関係数の相関時間ゼロの特性を基にした,コミュニケーションの定量的特性を見出す. また,実験データよりコミュニケーション評価値最大の条件を求め,それを,相互追跡モデルで再現し,コミュニケーションの最適化条件を探求すると共に,それを,制御するすべを調査する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
独立視覚目標運動追跡実験系の構築の際に謝金の支払いを当初計画していたが,実際には,謝金が必要でなかったため,次年度使用額が生じた. 相互追跡実験装置を構築するために,力覚フィードバック装置(ジオマジック社,Phantom Desktop)を導入する.その他,電子機器等,装置構築のために必要な消耗品等を購入する.(1,700,000円程度) また,成果報告や研究打ち合わせ等で旅費(200,000円程度),実験装置構築及び被験者への謝金(50,000円程度),その他,論文投稿のための英文校閲費や学会参加費として,使用する計画である.
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