2013 Fiscal Year Research-status Report
fMRIとカーネルファジィクラスタリングを用いたBCI画像検索
Project/Area Number |
24500258
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 真一 高知工科大学, 工学部, 准教授 (30334519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 豊 高知大学, 医歯学系, 准教授 (00376956)
岡本 一志 千葉大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10615032)
佐伯 幸郎 神戸大学, その他の研究科, 助教 (40549408)
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Keywords | ソフトコンピューティング / BCI / fMRI / 機械学習 / 画像検索 / パターン認識 |
Research Abstract |
BCI型画像検索を目指す前段として,視覚刺激を与えた際の脳活動を計測し,与えた刺激の種類と脳活動のパターンを教師データとして,学習を行うシステムの構築を行い,識別精度の評価を行った.視覚刺激として,(1) 異なる色を持つ円(赤,緑,青の3色),(2) 異なる形状を持つ白黒2値画像( (2)-A 円,四角形,三角形の3形状,および (2)-B ハート形や雲形などの形状を増やした10形状),(3) IAPS画像データを用いた感情を誘起させる画像を提示した.また,将来のマルチメディア情報への拡張を考えて,音響信号として,(4) 正弦波によるメジャーおよびマイナーの3和音を聴覚刺激として与えた場合についても行っている.まず,(1) の結果は,1人の被験者にて3色の円を2回ずつ,計6回注視する実験を10回行っている.各刺激の提示は20秒である.これをSVMを用いて学習した結果,平均して68%の認識精度となった.混同行列の示す結果から色ごとの識別精度に差はあまりないことがわかっている.(2)-A の結果は,被験者2名にて実験を行い,平均識別精度は,それぞれ77%, 65%となり,図形ごとの識別精度では,最悪の場合は50%, 最良の場合は,85%となり,被験者間および図形の違いにより識別精度の差が出た.(2)-B の結果は,平均識別精度は 10%となった.(3)では,カテゴリカルな識別を行うのではなく,感情の強さと脳活動の大きさとの相関を検討するため,重回帰分析を行った.4人の被験者に対して,100枚の感情を誘起する画像を提示する実験を行った結果として,Arousal(感情の強さ),Valence(感情の種類,ポジティブ,ネガティブ)と,脳活動の強さに大きな相関は見られなかった.大きな Arousal, Valence値を持つ画像に対しては,一部相関が見られた.(4) では,2名の被験者に対してそれぞれ55%, 62%の精度となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績より,視覚刺激,聴覚刺激は,単純化した刺激を用いてカテゴリを少なくした場合においては,ランダムなチャンスレベルよりも有意に大きな識別精度を得られることが確認できていることから,計測技術の向上により,BCIを用いた画像の検索や音声・音楽の検索を行える可能性を示している.視覚刺激を与えたfMRIによる脳機能計測を,色,形状に加え,感情を持つ画像,さらに音響信号に対して,複数回の試行を複数の被験者に対して行えたことは,十分な実験の進捗であったと考えている.また,視覚刺激および聴覚刺激は,前年度の運動刺激に加えて神経活動が弱くかつ複雑で捉えにくい信号であり,これらに対してチャンスレベルよりも有意に高い識別精度が得られたことは,大きな進展であった.これらの成果は,The 3rd International Workshop on Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics (IWACIII 2013,中国),The 14th International Symposium on Advanced Intelligent Systems (ISIS 2013,韓国)の国際会議論文にて発表している.また,日本知能情報ファジィ学会九州支部 夏季ワークショップ,日本知能情報ファジィ学会ソフトロボティックス研究会,および,統計数理研究所 共同利用研究 研究報告会など,国内研究会でも発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
脳活動のパターンから刺激のカテゴリを識別する実験結果からは,識別カテゴリが3個などであれば,70%など有意にチャンスレベルより高い識別精度が得られた.しかしながら,今年度の実験の結果に基づく課題として,(3) の実験において,相関が見られなかったのは,微妙な感情については,大きな脳活動を誘引せず,小さな脳活動は現在のfMRIなどの非侵襲的な機器では計測が難しいためと考える.また,同様に(2)-Bにおいて,識別精度がチャンスレベル程度になっているのも,同様に識別クラスが識別境界が近くなっているためと考える.これらは,計測機器の精度の問題,また,人体その他の熱雑音など,微弱な神経信号をとらえるセンシングの問題に起因するものと考えている.すなわち,画像検索への応用を目指すために,カテゴリ数を増加させても識別率を低下させない方法の研究が必要である.このための直接的な方法は,一つはノイズの低減であると考える.そのため,信号処理アルゴリズムによるノイズの低減と,識別精度の向上について定量的な研究を行う必要があると考えている.また,現在のシステムは,fMRI装置に同期してあらかじめプログラムされた視覚刺激を与えるために Presentation を用い,計測された脳活動を SPM5 にて Realign, Smoothing, Normalise を行い,さらに T map の作成を行い,T値の大きいボクセルを選んで,Matlab Brain Decoding Tool Box および統計解析ソフトウェア R を用いて,Support Vector Machine にて学習を行うものである.リアルタイム処理が行えない問題があるため,リアルタイムに上記の処理を行う実装も考案する必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議発表経費として,欧米地区での発表を予定した予算となっていたところを,昨年は知能系国際会議が,中国,韓国で行われ,これらに出席したため使用予算をおさえることができた. 次年度は,8月に予定されている知能系国際会議である,World Automation Congress (WAC 2014) にて発表を予定しており,これらの旅費および,最終年度のため成果発表を積極的に行う予定であり,論文出版に関わる費用に使用の予定である.
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