2014 Fiscal Year Annual Research Report
“心地よい”音楽聴取環境の感性情報処理:潜在記憶と視聴覚相互作用による計算モデル
Project/Area Number |
24500259
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
後藤 靖宏 北星学園大学, 文学部, 教授 (30326532)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視聴覚情報処理 / 音楽聴取 / 聴取環境 / 眼球運動 / 同期 / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、1)音楽認知過程における潜在記憶の役割、2)情動喚起の発生と変化時点に関する生理的な変化と自身のメタ認知との関係、3)“心地よさ”に関する視覚的情報処理と聴覚的情報処理の関係性が明らかにした。最終年度は、これらを包括的に説明し得る計算論的認知モデルを構築し、コンピュータ上に実装してシミュレーション作業を繰り返した。 このモデルの中核となるのは、申請者が既に提案している「メトリカルユニット階層化モデル」であった。このモデルは人間のリズム知覚過程をモデル化してコンピュータ上に実装したものであり、人間の知覚する拍の82%、拍子の85%を予測できる精度をもつものであった このモデルに、情動喚起に関するパラメータとして「暗意-実現モデル」(Meyer,1996)の考え方を取り入れた。これは音楽の認知過程を「先行音による期待と、具体化された後続音による連続的な過程」と捉え、予測が実現された場合は快感情が、予測が不適切/実現が遅延する場合には不快感情がひき起こされると仮定するものである。前年度までに詳細なデータを収集することによって、より精度の高いモデルの構築が可能になった。 更に、音楽と聴取空間による相互作用についてもモデルに反映させた。前年度までの実験により、音楽の拍節的アクセントが照明とどのように関係しているかということを明らかにできた。また、この結果を楽曲の特徴と対応づけることにより、“視覚的情報が音楽認知に関わってくる”過程を明らかにすることができた。 後藤(2006a)で使用した因子分析の結果については必ずしも十分に反映させることができなかった。ただし、聴取空間と音楽認知過程との関係を明確にパラメータとして一定程度組み込むことはできた。現在はより妥当性の高いモデル構築を目指している。
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Research Products
(3 results)