2012 Fiscal Year Research-status Report
多人数インタラクションのための対話型進化計算の応用システムの開発
Project/Area Number |
24500264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
徳丸 正孝 関西大学, システム理工学部, 准教授 (70298842)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 対話型進化計算 / 協調デザイン支援 |
Research Abstract |
これまでの研究成果である複数参加型トーナメント方式の対話型遺伝的アルゴリズムをインターネット投票を用いた実システムへと応用するために,HPの配色と文字配置を最適化するアプリケーションを開発し,Webサーバ上に実装した.本システムは不特定多数がPCやスマートフォンを用いてサーバにアクセスして好みのデザインに投票することにより,自動的にサーバがデザインの最適化を行い多数のユーザが満足するHPデザインを自動作成する仕組みになっており,20名程度の学生による運用テストにより動作を確認した. また,福井大学で開発された「景観に合う看板デザインの作成支援システム」を多人数投票による協調デザイン支援システムに拡張するため,Webサーバ上にシステムを実装してテストを行った.さらに,ファッションコーディネート支援システム構築に向けて,Tシャツの感性検索システムや類似衣服の検索手法について基礎的な検証を行った. ポーカー方式の対話型遺伝的アルゴリズムでは,iPadとMacProを用いてシステムのベースとなるインタフェースおよび通信機能の実装を行った.まずミズノ株式会社と共同で開発しているランニングシューズのデザインシステムをポーカー方式の対話型遺伝的アルゴリズムを用いた協調デザインシステムにアレンジし,実装した.iPadにはサーバから提示されたデザイン案をユーザが簡単に評価するためのインタフェースを実装し,タッチパネル操作のみでサーバ(MacPro)に評価結果を送る機能を開発した. さらに,高速な対話型進化計算アルゴリズムとして,タブーサーチアルゴリズムを用いた進化計算手法を提案し,シミュレーションによる性能の検証と,ランニングシューズデザインシステムへの実装を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった「システムの実装」についてはおおむね計画通りに進めることができた.インターネット投票を用いた複数参加型トーナメント方式による対話型遺伝的アルゴリズムでは,実際にWebサーバ上にHPデザイン支援システムを構築し,不特定多数のユーザからインターネット経由でシステムにアクセスして投票を行う仕組みを実装した.また,20名程度の研究室学生のみであったが,自宅のPCやスマートフォンからシステムにアクセスし,実際にシステムを使用することにより運用試験をすることができた. また,当初の予定には無かったが福井大学の研究者と共同し,より多くの人が気軽に参加できるアプリケーションの開発を目指し,新たに「多人数で評価を行うことが可能な景観に合う看板デザイン作成支援システム」の開発に着手することができた. 当初の計画であったファッションコーディネート支援システムについては,対話型進化計算をベースとしたシステム開発は進んでいるものの,ファッションコーディネートをユーザに提示する手法について検討すべき課題が多く,配色コーディネートや類似画像の検索など基礎的な技術開発にとどまっている. 一方,ポーカー方式の対話型遺伝的アルゴリズムでは,複数のユーザが同時にシステムにログインし,協調してデザインを行う基本システムの開発に成功した.本システムは各ユーザがiPadとサーバで構成されており,ミズノ株式会社と共同開発しているランニングシューズデザインシステムを実装し,システムの動作テストを行うことができた. 以上により,多少のアプリケーションの変更はあったものの,当初の計画にあったシステム構築および動作テストはおおむね完了し,大規模な運用テストを行う準備が整った.したがって,当初の研究目的はおおむね達成したと評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りにシステムの実装についてはほぼ完了しており,今後は大規模ユーザによる運用実験を行う必要がある.しかし,インターネットによる不特定多数のユーザを対象とした実験は非常に困難であり,魅力的なコンテンツ(題材)が必要である. したがって,福井大学の学生の協力のもと,景観に合う看板デザイン作成支援システムを用いた数十名の実験をまず実施し,より大規模なユーザを対象とした実験のためにファッションコーディネート支援システムの構築を目指す.本システムに関してはインターネットからの利用にとどまらず,デジタルサイネージなどを視野に入れたシステム全体の構成を見直し,大学の食堂の入り口などに設置して通行する学生が気軽に評価できるようなシステムについても検討する. ポーカー方式の対話型遺伝的アルゴリズムでは,iPadとサーバを用いたシステムの実装が完了しているが,進化計算アルゴリズムがサーバに与える負荷が大きいために動作がスムーズでないなどの問題も残されている.そこで計算能力の高いサーバを導入するとともに,ネットワーク機能の強化,評価インタフェースの見直しなど,実用化に向けた総合的な性能向上を目指す. さらに,開発中の食生活支援システムをiPadに実装し,家族で協調して献立を選択することのできるシステムの開発にも着手する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
協調デザイン支援システムを用いた大規模ユーザによる運用テストのために,処理能力の高いサーバが必要であるので,研究装置として計算サーバ1台を購入する予定である. また,システム開発および運用テストに学生アルバイトを雇用する.
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Research Products
(7 results)