2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500267
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
山本 昇志 東京都立産業技術高等専門学校, その他部局等, 教授 (70469576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 徳道 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (00272344)
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Keywords | 違和感 / 判断基準 / 材質感 / 画像処理 / コンピュータグラフィックス / 周囲環境光 |
Research Abstract |
本研究は視覚において直感的に判別できる違和感に注目して、品質の判断基準制定に寄与する感性を明らかにすることである。この違和感は我々が視覚的に学習してきた現有物と異なるパターンが発生する場合、高速に判別ができる脳機能である。昨年度は現有物として人間の顔を用いてその解明に努めてきた。しかしながら顔は構成要素が多数存在し、その判定基準を明確化するには非常に難しい題材であることが明らかになった。 そこで、本年度からは対象を特定な質感を持つ単純形状物体に変え、照明との位置関係や材質の変化に対する違和感を精査することとした。照明との位置関係においては物体の材質を際立たせる照明条件の存在が、熟練した写真撮影者の技法として、従来から指摘されている。そこで、本年度は写真撮影時の照明条件となる周囲環境光を全周囲カメラで撮影して、まずは違和感のない撮影条件を探索した。その結果、陶器、金属、毛織物など反射条件が異なる物体ごとに適切な撮影位置条件が存在する可能性を得た。また、この手法は容易に周囲位置情報を変化させることができるため、今後は違和を感じる位置の探索を検討し始めている。 一方では、照明条件が固定の場合でも、材質を表す反射条件の変化において違和を感じる範囲があることも明らかになりつつある。我々は物体表面の鏡面反射、拡散反射そして物体内部の透過率を高速で切り替え可能な表示再現システムを構築し、例えば、物体が金属や陶器と感じる領域判別を試みた。その結果、特定の条件範囲で物体の質感を的確に指摘できるとともに、その条件範囲を超えると途端に違和を感じることが明らかになった。この条件範囲の境界部分で我々はどの程度の感度でその変化をとらえているかはいまだ明確にはなっていないが、違和感が品質を判断するための重要な指標であることは明らかと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績報告で述べたとおり、昨年までは対象物体として人間の顔を用いてその解明に努めてきた。しかしながら、顔は違和を明確に感じられる対象としては有益であるが、構成要素の形状や模様などが複雑であるため、その判定基準を明確化するには非常に難しい題材であった。そこで今年度はもう少し単純な形状を持ちながら様々な印象を与える物質感に切り替えて、評価基準の確立を目指すこととなった。この条件設定や評価システム構築のため、やや遅れを生じているが、今年度研究を加速して挽回する。
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Strategy for Future Research Activity |
評価を行うためのシステム開発はほぼ完了している。今年度は違和感を評価するうえで適切な画像の生成、及び評価条件の設定を進め、最終評価を行っていく。評価は数階層にわたる分別レベルになることが予想され、実験計画法などを用いながら効率よく推進していく所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はシステムの再構築を進めており、評価対象物体の作成まで実施できていない。また、評価システムも解像度の点などから若干の改造が必要である。その分の予算消化ができていない。 評価対象物体の絞り込みは計画通りであるが、評価システムの改造は早急に行う。そのため、繰り越しされた金額は使用予定であり、全体計画としての予算管理に問題は生じないように努める。
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