2013 Fiscal Year Research-status Report
快・不快情動が操る嗅覚表象の単離脳イメージング:行動解析との融合的アプローチ
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24500269
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
梶原 利一 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (60356772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 貴志 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (20344046)
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Keywords | 嗅覚 / 神経活動イメージング / 記憶 / 情動 / 海馬 / 扁桃体 / モルモット |
Research Abstract |
本研究では,“こころの動き”が,知覚感受性や記憶の程度に影響を与える脳内メカニズムを明らかにする事を目的とした.具体的には,報酬や罰を伴う嗅覚学習行動が,辺縁系皮質の神経ネットワークの,どの部位に,どのような機能変化を生じさせるのか,その機能変化は海馬や扁桃体の情報伝達パターンにどのような影響を及ぼすのかという問題を明らかにする為に①条件付け学習モデル動物の単離脳を用いたex vivo 脳機能解析システムを新たに構築し,これにより②情動や報酬予測行動を支える嗅覚神経回路の探索と動作機構の解析を行うことを,目指した. 平成25年度は,①の課題については,ex vivo脳機能解析システムの再構築を行った.具体的には,脳標本の温度コントローラー用電子回路および電源回路の改良により,多チャンネル電極を用いた誘発電位計測を高S/N条件下で行えるようにした.更に,脳標本を保持する為のチェンバー形状を工夫して,コンパクト化し,薬理学的な実験を効率よく行えるように改良した.②の課題については,脳スライスの膜電位イメージング解析を進展させた.皮質―海馬脳スライスにおいて繰り返し入力に対する神経応答パターンの解析を行った結果から,40Hzで嗅周囲皮質36野を刺激すると,35野に持続性の神経興奮が誘導されることが明らかとなっているが,新たに行った薬理学的な実験結果から,この35野の神経応答現象には,緩やかに不活性化するカリウム電流が深く関与していることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度の人事異動で遅れた分を取り戻すまでには至っていない為,全体としては当初の目標をクリアできるレベルには至っていない.しかしながら,昨年度のみで言えば,順調に研究が進展し,仮説を裏付ける実験データも収集できつつあると自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに,単離脳標本を用いた電気生理実験を進める為の基盤は整備された.光計測法との融合という意味においては,更に実験システムを整備してゆく必要性がある.行動解析については,オペラントチャンバーの改良が必要となってきている.脳スライスの実験結果については,概ね予想していた通りの実験結果が得られてきたので,実験数を増やし,早い段階で論文投稿を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は,ex vivo単離脳実験系について,脳標本の温度制御回路,多点電極による電気計測系の構築を行うことができたが,これらの整備に思いのほか時間を要したため,光計測実験について,実験系の完成と実験の実施まで至らなかったことが原因と考えている. 25年度に行えなかった単離脳光計測実験を行い,その為の経費として研究費を使用する.また,24年度に試作したオペラントチャンバーに新たに改良が必要な箇所が複数見つかってきている為,行動実験系改良の為にも費用を充当する.
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Research Products
(6 results)