2014 Fiscal Year Research-status Report
快・不快情動が操る嗅覚表象の単離脳イメージング:行動解析との融合的アプローチ
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24500269
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
梶原 利一 明治大学, 理工学部, 准教授 (60356772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 貴志 徳島文理大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20344046)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 神経活動イメージング / 記憶 / 情動 / 海馬 / 扁桃体 / モルモット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,“こころの動き”が,知覚感受性や記憶の程度に影響を与える脳内メカニズムを明らかにする事を目的とした.具体的には,報酬や罰を伴う嗅覚学習行動が,辺縁系皮質の神経ネットワークの,どの部位に,どのような機能変化を生じさせるのか,その機能変化は海馬や扁桃体の情報伝達パターンにどのような影響を及ぼすのかという問題を明らかにする為に①条件付け学習モデル動物の単離脳を用いた ex vivo 脳機能解析システムを新たに構築し,これにより②情動や報酬予測行動を支える嗅覚神経回路の探索と動作機構の解析を行うことを目指した. 平成26年度は,①の課題については,多点電極(16ch)により記録された集合電位記録から電流源密度解析を行うツールをMatlabにより開発した.昨年度,再構築した単離脳実験システムを用いて測定した梨状皮質および扁桃体皮質部位の脳活動の解析に適用し,嗅索への繰り返し刺激が扁桃体皮質の深部領域を新たに活性化させている事が明らかとなった.また,モルモットを用いた嗅覚嫌悪学習課題に取りかかった.②の課題については,昨年度までに,皮質および海馬を含む脳スライスにおいて,嗅周囲皮質36野への繰り返し刺激によって35野に誘導される持続性の神経興奮に,緩やかに不活性化するカリウム電流が関与していることがわかってきた.データを解析した結果,使用する実験動物の週齢差が,本実験結果に与えている可能性が示唆された為,検討した.現時点では実験数が十分では無い状況ではあるものの,幼若な動物ほど,持続性の神経興奮が生じにくいという傾向が得られつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年4月に,産業技術総合研究所から明治大学へ異動した為,当初予定していたようには進める事ができなかった.異動先の実験環境および動物飼育施設環境ともに未だ完全に稼働していない状況である.研究分担者の所属機関(徳島文理大)における研究は,順調に進んだものの,旧所属の産業技術総合研究所での研究スピードが著しく低下してしまった.これが原因と捉えている.
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Strategy for Future Research Activity |
未完成ではあるものの,ようやく異動先での動物実験が行えるように環境が整備されてきたので,昨年までに構築してきた行動実験装置を,新たな環境にあわせて設置しなおし,モルモットを用いた学習行動実験を行う.さらに,電気生理実験を行うにあたって,旧所属機関の設備をお借りするなどして,可能な限り効率的な研究推進を図る.
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Causes of Carryover |
研究代表者は昨年4月に異動した為,研究環境整備などに思いのほか時間を要してしまった事が,当初予定したスケジュールどおりに研究を遂行できなかった理由と考えている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本予算を活用し,旧所属の環境の活用や分担研究者との連携を積極的に進めるとともに,現所属でも可能な限り同様の実験セットを構築し,研究スピードを高めたいと考えている.電気生理や組織化学関連の器具類のほか,現所属の環境に適した行動実験システムの為にも費用を充当する.
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[Journal Article] Algorithm of olfactory information processing for discrimination of similar odors.2014
Author(s)
Sato, T., Hirino, J., Matsukawa, M., Furudono, Y., Kajiwara, R., Takashima, I. and Iijima, T.
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Journal Title
AROMA RESEARCH
Volume: 15
Pages: 3-9
Peer Reviewed
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