2013 Fiscal Year Research-status Report
格子ロトカボルテラ模型による生物の進化・機能の研究
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24500273
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
泰中 啓一 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30142227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 智 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20296750)
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Keywords | 格子ロトカボルテラ模型 / シミュレーション / 生物進化 / 最適化 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
これまで代表者らは、個体ベースのシミュレーションモデルとして、「格子ロトカボルテラ模型」を開発し、格子上で生物の出生と死亡プロセスを行い、生物進化における最適化問題を扱ってきた。 本年度は、新しい生態系動態予測手法の研究開発を目的としてきた。近年の気候変動や人間による開発は、生物の適応に大きな影響を及ぼしている。生物の適応プロセスを正しく把握するためには、個体群動態を正しく記述する必要がある。しかし、現状の生態系動態予測手法を使うと、共生系に対して、個体数が無限大に発散してしまう。格子上の生物を想定し、個体ベースの第一原理から出発すると、発散が回避でき、基本モデルが開発できることが分かった。共生系の基本方程式は、現実の共生系の個体群動態をうまく説明する。また過去の共生系方程式よりも、はるかにシンプルである。ただし、もっと多くのデータによって検証する必要がある。 とくに酵母菌(yeast)の研究について述べる。酵母菌をフラスコの中で培養すると、指数増殖の後、密度が高くなると増殖が停止する(密度効果)。最近我々は、シミュレーションによって密度効果を研究した(PLoS One, 2011)。すなわち、細胞を単離すること無く、高密度状態を調べた。その結果、密度効果の開始時に、「娘細胞の増殖停止」と「母細胞の集団破裂」が同時(一斉)に起きることを発見した。これらの2種類の増殖停止現象を、はじめ格子シミュレーションによって予測した。その後、実験によって、「母細胞の集団破裂」が確認された。この論文の内容は、ガンなどへの応用としてさまざまに研究されている。これらの成果は、国際会議(ICCS 2014)において紹介する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文が多く出版されている。酵母菌研究と、共生系の動態を予測するための研究が引用され始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
酵母菌の研究は、ガンなどへの応用としてさまざまに研究する予定。 また共生系の動態を予測するための方程式(Eco Mod, 2011)を、さまざまな分野に応用する予定である。現在研究を行っているのは、企業経営の最適化について。従来、企業経営のダイナミクスは、無限に資産を獲得できるという想定で研究されてきた。しかし、資産獲得は有限である。この状況下で、企業が互いに助け合う共生は、生き残る上で重要な方策であることがわかってきた。
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Research Products
(5 results)