2012 Fiscal Year Research-status Report
スパース表現による不完全情報のデータからの源信号復元と形状イメージ再構成の研究
Project/Area Number |
24500280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
丁 数学 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (80372829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 祐市 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (90404897)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 確率的情報処理 / スパース表現 / 不完全なデータからの復元 |
Research Abstract |
平成24年度に下記の研究について実施した。 1)本年度は信号のSparsityを測る新しいコスト関数を提案し、その有効性と優れた性能について研究した。従来のコスト関数(例えば、0-ノルムや1-ノルムなど)は非平滑、または非凸なもの殆どであり、最適化は困難である。それに対して、新たに提案したコスト関数は信号行列の2乗行列式であるので、平滑かつ列ごとで凸な関数となり、従来のものより優れた性能を持つことが研究で分かった。我々はさらにこのコスト関数を非負信号のブラインド信号分離処理に応用して、有効なアルゴリズムを発見した。分離精度は従来のものよりはるかに高い、画像処理などで結果の良い応用もできた。これについて内容はIEEE Transactions on Neural Networks and Learning Systemsに発表された。 2)非負信号のスパース表現についても研究した。1)と比べ大きな違いはこの問題は欠完備(表現用辞書については過完備ことである)である。我々の提案方法としては、1-ノルムでSparsityを制約するとともに表現用辞書にIncoherenceと言う新な制約条件も導入した。このIncoherenceに関する制約条件の導入で表現用辞書の効率化を図れるということが分かった。提案アルゴリズムとして、我々は各制約条件を罰関数の形で原問題を最適化問題に変更した。そして、我々の研究で発見したこととして、この最適化問題はいくつかの2次多項式の最適化の繰り返すことと相当である。これらの問題は厳密に解決ができるので、性能の優れたアルゴリズムと繋がった。これについて内容はIEICE Transactions on Information and Systemsに発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を達成するために交付申請書に記載した平成24年度分の研究計画・方法で、「(1)信号のSparsityを測る新しいコスト関数についての研究」、と「(2)問題の定式化と理論、アルゴリズムの研究」という2つの内容があった。これらの研究について、上記の「研究実績の概要」で述べたように研究を計画通りに達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)24年度研究の深化研究 24年度に提案した新しいsparsityを測るコスト関数の特性、従来のコスト関数との比較、関連する最適化ための方法論などについて研究する予定である。そして、24年度に研究されたコスト関数を用いて、源信号がsparsityを持つという仮定のもと、スパース表現についての理論とアルゴリズムを構築する。また、新しいコスト関数が従来のものに比べて収束性及び復元精度において有効であることを実験で示す。また、上記のコスト関数の以外、ほかの優れた性能を持つsparsityを測れるコスト関数についても研究する。 (2)Sparsityを持たない信号にも応用ができるスパース表現法についての研究 この研究は未知の領域であり、成功すれば理論・応用ともに高い価値があると考えている。我々は既に1-ノルムを使用する場合についてこのような問題を解決すること図って、ある程度成功した(Yang, Ding et al. IEEE Transactions on Image Processing 2010)。この成果を基に平滑なコスト関数を導入し、さらに各要素を非負であるという条件を外す研究を行う予定である。 (3)スパース表現の応用研究 平成24年度の研究成果を利用して、2つの応用を研究する。不完全画像と動画の復元では、低解像度である、ノイズを含む、一部が欠損している、等の画像と動画の復元について研究する。我々は既に画像の欠損部分の復元(image inpainting)の実験を行い一定の成果を得ており、この結果を利用しながら本研究を進める。情報が欠損したCT/MRIデータからの完全な形状イメージとビューの再構成では従来の方法において形状イメージやビューなどを時間や位置の制限により十分に再構成ができなかった不完全なデータを用い、イメージの構成ができる技術を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Matlab/Simulink R2014を本研究においての重要なツールとして使用する予定である。現有の5つのライセンス(Matlabの本体とSignal processing Toolbox)があるので、平成25年度での新規購入が必要がないが、メンテナンス費用のみが必要である。また、必要に応じて、Image Processing Toolbox、Optimization Toolbox、Simulinkなどオプションツールを購入する可能性もある。 各研究者用パーソナルコンピュータは現有のものを使用する予定であるため、追加が必要な研究のためのサーバや実験用パーソナルコンピュータのみが必要である。 実験システムに関する改造修理費として、不完全情報をもつデータから源信号の復元と形状イメージの構成についての評価テストなどの目的で、できるだけ現有のものを使用し節約する予定であるが、実験項目を変更するために改造と修理が必要である場合はそれための費用がかかる。 謝金・研究補助としては主に大学院生の研究補助の費用となる。研究の評価と実験、特に、音源分離に関する心理テストでは多数の被験者を集めるため大学院生の研究補助が重要である。会津大学において、院生の時給が1,000円となっているので、この基準と必要時間数で支払う。
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Research Products
(8 results)