2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500292
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐野 洋 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30282776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友常 勉 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 准教授 (20513261)
辻澤 隆彦 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60360070)
有澤 知乃 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 講師 (90588906)
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Keywords | 日本学 / 日本研究 / ディジタルリテラシー / 情報アクセスビリティ / クローリング / 情報化格差 |
Research Abstract |
本年度、研究目的で掲げた日本学・日本研究の概念化・鮮明化とその国際環境の把握。海外の日本学・日本研究の現状について、国際学界の研究動向の経年的な調査のひとつとして、日本情報へのアクセスの現状を調査するため「海外の〈日本リテラシー〉とデジタル・コラボレーションの未来」というタイトルのもと、内外の講師によるe-Japanology講演会を開催した。開催日時は、2013年7月11日(木)、18時~20時で、東京外国語大学(中会議室)で行った。外部から、江上敏哲氏(国際日本文化研究センター資料課)を講師として招聘し、研究分担者からは、辻澤隆彦氏(東京農工大学教授)が発表を行った。 この講演会を通じ、学際化・グローバル化に対応したデジタル環境整備の観点から指摘されている、日本研究・日本関連資料の「デジタル化」が遅れと、それに伴う海外からのアクセス時における不可視化の進展の現状を確認した。技術側面からは、研究目的で挙げた「メディア・テクノロジーを利用したコンテンツ配信のための技術支援」に沿って、e-resource検索のためのデモシステムを辻澤隆彦教授が紹介し自動収集の仕組みについて解説した。 前者からは、日本学・日本研究資産へのアクセスビリティを向上が遅れていることが再確認された。メディア・テクノロジーを利用したコンテンツ配信の技術的な実現度は高いことが確認された。関係する情報内容を選択し適切に指示することで日本学・日本研究資源の情報収集と発信が容易であることが確認できた。コンテンツの充実化の活動(目的にある東京農工大、東京学芸大とのあいだで、コンテンツ充実のための相互点検体制の構築)は進んでいない。そのため今年度の研究事業計画で挙げたコンテンツの配信事業が実現しなかった。構造化された知識にアクセスする手段の提供、知識ナビゲーション技術の利用はデモンストレーションの段階に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第2年度に挙げたコンテンツの配信事業に遅れが生じている。コンテンツ拡充のための仕組みの確立が出来なかった点を問題点として挙げる。電子化「資料」概念に対する認識の違いが鮮明になった。技術側面から見たとき問題点は、複合メディアを記録する工夫や、データ容量、情報アクセスビリティなどを焦点に検討するが、日本学・日本研究の現実の場におけるデータの電子化要求は、様々で、まずもって人のディジタル化に対する情報不足、研究環境周辺における情報技術へのアクセスビリティの低さが明らかになった。情報通信技術が社会基盤となって久しいが、基盤技術の利用率(あるいは利用効率)の観点からみると、分野によってはアンバランス差が拡大していると考えることができる。本研究で掲げた日本学・日本研究分野における電子的訴求力の向上は、「頻発する食い違い」という現実問題の直面を明らかにし、それが日本情報の発信力の低下を招いている一因であることも確認できた。なお、日本国内の情報の発信についても、民間における各種メディアの海外情報発信事業は赤字を続けており、中国や韓国の情報発信能力との差が広がっていることも他の調査で分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の遅れの理解は、当初、日本学・日本研究の情報を電子化し、構造化して情報アクセスビリティを挙げれば良いという視点が、直裁に容易でないことを明らかにした。「頻発する食い違い」を解消しなければ根本的な解消には至らない。 コンテンツ拡充に先立ち、電子コンテンツの作成環境の在り方を検討する。具体的には、コンテンツマネジメントシステム(CMS)の調査を行い、その利用の容易さの評価を実施する。比較的容易に使えると判断されたCMSを使って、日本学・日本研究分野において、情報技術へのアクセスビリティの向上がどの程度可能なのかを実証的に検討する。国際日本研究センターで調査研究している資料を中心に、資料の書式、メディアの複合度、ディジタル化の技能レベル(と同時に担当者が学習すべき技能や知識は何なのか)を、現実資料をもとに実証的に調査し、明らかにする。また、日本国内の情報の発信については、本学の社会・国際貢献情報センターが収集している地域情報を資料として、上記と同様に、情報技術へのアクセスビリティの向上の観点で、情報発信過程の実証調査を行う。これらの過程を一般化することによって、当初の研究事業にあったコンテンツ拡充に代えた研究成果とする。 なお、研究計画で示した最終年度の事業(海外協力大学から研究者を招へいし、事業終了にあわせて総括的なシンポジウムの開催)は、計画通りに推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
会計的には他機関への払出分の費目精算があるためで、研究としては、事業計画で上げたコンテンツ拡充を実施しなかったため。研究進捗の経緯分析は「現在までの達成度」欄に挙げたとおり。 「今後の研究の推進方策」欄で記載したとおり、電子コンテンツの作成環境の在り方を検討する中で使用する。
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Research Products
(5 results)