2014 Fiscal Year Annual Research Report
有形文化財の3DCG復元を目的とした材質劣化モデルの構築
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24500299
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
田中 法博 長野大学, 企業情報学部, 教授 (90387415)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化財復元 / 反射モデル / 分光画像計測 / コンピュータグラフィックス / コンピュータビジョン / GPU / 材質推定 / デジタルアーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,劣化も含めた文化財の光反射モデルを構築し,そのモデルに基づいて文化財をデジタルアーカイブし,CG再現を行う手法を開発した. 光学特性の劣化モデル(物体表面の光学特性変化)は,いくつかの材質を対象に紫外線劣化加速器の計測データに基づいて分光ベースの光反射モデルに脱色よる色度変化や反射率変化をモデルに組み込むことで構築した.物体固有の物理情報である分光情報に基づいて光反射モデルを構築した.形状モデルは,レーザレンジファインダを用いて対象の文化財を計測し,その計測データから形状を再現する手法を開発した.金工作品等の金属物体は不均質誘電体とは異なり,内部反射を持たず鏡面反射成分しか持たないためレーザー計測が難しいという問題があるが,計測データに関する曲面補間手法を開発した. 研究期間の後半(2年目と最終年度)は,東京国立近代美術館に所蔵されている明治期の工芸作品で鈴木長吉(1848-1919)作「十二の鷹」を主たる対象とした.古い工芸作品は,その素材や工法の記録が十分に残されていないため,どのような材料がどこに使用されているか等の詳細が知られていないことが多い.この「十二の鷹」も材料や製法に関する詳細な情報が不足しているため計測が難しい対象の一つである.これは青銅の地に金,銀,赤銅,朧銀による象嵌,さらに嘴の漆の塗りがなされている金工作品である.本研究では,この「十二の鷹」の頭部の形状を3次元形状計測し,3DCGでの再現を試みた. 最終年度は,計測画像と光反射モデルに基づいて,「十二の鷹」の表面材質や表面状態の反射特性を予測する手法を試作した.対象の光学反射特性と分光反射率を計測データから推定し,その推定値から「十二の鷹」のCG再現を行った.本研究の成果の一部は複数の学術論文の内容に含められた.また劣化を含めた光反射モデルに関する重要な研究成果について投稿予定のものが2本ある.
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Research Products
(11 results)