2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災におけるメディアとサバルタンに関する研究
Project/Area Number |
24500304
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂田 邦子 東北大学, 情報科学研究科, 講師 (90376608)
|
Keywords | メディア / サバルタン / 東日本大震災 |
Research Abstract |
理論的側面においては、東日本大震災の事例をもとに、「サバルタン」あるいは「サバルタニティ」という概念を「社会的弱者」あるいは「社会的マイノリティ」から「言説的弱者」あるいは「言説的マイノリティ」として捉え直すことによって、サバルタニティの多様性(多層性)のみでなく、イデオロギーの多様性(多層性)、権力の多様性(多層性)などにつき論じることができるということを明らかにした。 また、この理論的到達に則り、実際に「サバルタン=言説的弱者」が語るための場所の構築について、ソジャやルフェーブルなどの空間論的アプローチからこれを実践の場としての語りの空間に落とし込むということを行い、一定の成果を得た。また語りや空間、言説の隙間に存在する〈あいだ〉をプロセスとして捉え、そこに対話を促すためのコミュニケーション・デザインについて考察し、サバルタンが実際に語るための場所のデザインについても、その可能性やポテンシャルについて考察した。 一方、調査研究においては、今年度は主に福島のメディアやオーディエンスを中心としたヒアリングやアンケート調査を行い、その語りにくさの原因を追及するとともに、新たなサバルタニティの創出についての問題を見いだすことになった。ただし、十分な結果としては得られていないため、この点については、引き続き調査・分析を行っていきたいと考えている。 また次年度には、主に調査研究のこれまでの成果を本として出版することを予定しているため、詳細なデータ分析を行ったうえ理論的考察を交え、構成をたて、執筆活動に入っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理論的考察に関しては、一定の成果をすでに出している。 調査・分析に関しても、これまでに集まったデータの分析をおおよそ終えており、問題の所在と解決方法も徐々に明らかになってきている。一方で新たな問題も生じており、特に福島における調査の分析・検討が難解であり、来年度に持ち越すことになっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度になるため、今後は、取り残している福島のデータの分析を中心に行いながら、発表活動に力を入れていきたいと考えている。先にも述べたように、これまでの調査結果を本としてまとめることを予定しているため、執筆を中心に、国内や海外での学会発表なども行って行く予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用予定だった海外での学会発表を急遽キャンセルしたため、その分の次年度使用額が生じた。 次年度は、学会等での発表を中心に成果を広く公開していきたいと考えており、そのために使用したいと考えている。
|
Research Products
(4 results)