2012 Fiscal Year Research-status Report
主観的輪郭の比較認知研究から探る知覚的体制化のメカニズム
Project/Area Number |
24500322
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
牛谷 智一 千葉大学, 文学部, 准教授 (20400806)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 比較認知 / ハト / 主観的輪郭 / 明るさの充填 / 錯視 / 条件性弁別課題 / プライミング / 視覚探索課題 |
Research Abstract |
実験1では,明るさ弁別課題をハトに訓練し,ヒトが主観的輪郭を知覚する刺激配置をハトに呈示したとき,ハトが物理的な明るさよりもどれほど明るく知覚するかその強度を量的に調べた。ヒトでは,4つの誘導形図形の「口」部分を中央に全て向けるとヒトは主観的輪郭を知覚する。訓練ではこのパターンは使用せず,誘導図形の口部分が互いにバラバラの向きに配置されたものを条件性弁別刺激として画面中央に呈示した。ハトがこれをつつくと,左右に比較刺激が呈示された。誘導図形に囲まれた中央部(検査野)の輝度を操作し,背景より明るい条件では左の比較刺激,暗い条件では右の比較刺激をつつくようハトに訓練した。テストの実験条件では,誘導図形の口の向きをすべて内向きにして呈示した。統制条件では,誘導図形の口の向きをすべて外向きにして呈示した(この条件は,口部分を全て内向きにした条件とは違い,主観的輪郭は知覚されない)。このテストの結果,ヒトとは違い,ハトは検査野がより暗いと知覚されることが明らかになった。このことは,同時弁別課題でテストした場合にも確認できた。 実験2の予備実験として,ハトにおこなう課題をヒト被験者に実施した。最初に,三角形または四角形を円形(妨害刺激)の中から探索することを訓練した。標的の探索に十分慣れたところで,先行刺激(プライム)として,主観的輪郭によって構成した標的を呈示した。この時,反応時間が短くなり,主観的輪郭が実輪郭の図形の探索を促進することがわかった。今年度は,ハトを被験体としてこの実験を実施し,ハトが主観的輪郭をヒトと同じように輪郭をともなって知覚しているかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験1(主観的輪郭にともなう明るさの充填の測定)については確認実験を含めて完了した。また,25年度実施予定の実験2(プライミングによる主観的輪郭知覚の検討)については,予備実験を完了することができ,今後すぐに本実験に移行できるため,予定よりも早いスケジュールで研究が達成できている。一方,他種(キュウカンチョウなど)による比較研究については予定よりも実験が遅いペースで進んでおり達成状況は100%ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにヒトを被験者とする予備実験を完了した上記実験2(プライミングによる主観的輪郭知覚の検討)について,ハトを被験体とした実験を速やかに実施していく。25年度後半には,ハトの部分優先処理傾向と主観的輪郭知覚の強度の相関を調べる実験3を予定通り実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に完了できなかった他種との比較実験を完了させる。
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