2013 Fiscal Year Research-status Report
主観的輪郭の比較認知研究から探る知覚的体制化のメカニズム
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24500322
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
牛谷 智一 千葉大学, 文学部, 准教授 (20400806)
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Keywords | 比較認知 / 種間比較 / 主観的輪郭 / 明るさの充填 / 錯視 / プライミング / 視覚的注意 |
Research Abstract |
明るさの弁別を訓練し,パックマン型誘導図形を内向きに配置した内部領域の明るさをどのように判断するかテストした24年度の実験では,ヒトではカニッツァ錯視が生じ,物理的な明るさよりも明るく判断されるのに対し,ハトでは物理的な明るさよりも暗く判断していることがわかった。25年度は,さらに同じ図形について明確な輪郭を伴った錯視であるかを調べるため,ハトに三角形や四角形を標的とする視覚探索課題を訓練したのち,探索場面の前にヒトでは三角形や四角形のカニッツァ錯視が生じる図形をプライムとして呈示した。ヒトと同様にカニッツァ錯視図形による探索の促進効果が認められたが,実際の三角形や四角形がプライムとして呈示されたことによる促進効果はセッション間で一定せず,この点,さらなる検討が必要である。 種間比較としてキュウカンチョウがカニッツァ錯視を知覚しているか調べた。キュウカンチョウにおいてはハトとは異なり,オブジェクトベースの注意研究により,体制化された図形の「まとまり」に対して注意が賦活することがすでに示されているため,まずそれを利用する実験をおこなった。誘導図形の適切な配置によりヒトでは主観的輪郭が知覚される図形の内部で注意を移動しなければならない条件下で,キュウカンチョウの反応時間は短くなり,主観的輪郭を知覚している可能性が示されたが,個体数が少なく推測統計的には明確な結果とはいえないため,今後個体数を増やして検討する必要がある。また,同一個体を用いてハトと同じプライミング課題での検討をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プライミング効果を利用した,ハトにおける主観的輪郭知覚の検討については,当初の予定通り実験を終えることができた。キュウカンチョウの比較実験についても実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験から,ハトが主観的輪郭図形をヒトとは違うように知覚している可能性が得られたので,今後どのような知覚が生じているかを精査する。キュウカンチョウではヒトとよく似た知覚が生じている可能性が示唆されたが,個体数が少ないため,今後個体数を増やして検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
比較実験の対象であるキュウカンチョウの新規個体が入手できなかったため。 キュウカンチョウの個体数を増やし,比較実験を推進する。
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