2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500324
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
宮下 真信 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (20443038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 繁 電気通信大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70281706)
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Keywords | 視知覚 / 方位マップ / 第一次視覚野 / 神経デコーディング / 自己組織化 / 視覚経験 |
Research Abstract |
発達期の単一方位の視覚経験によって、経験した方位に応答する細胞が増加する過剰表現が起こことが知られている。しかしながら、こうした方位マップが改変された動物の行動は比較的正常であり、方位マップの構造と機能との関係は不明な点が残されている。本年度は、モデル視覚野の神経細胞の応答特性を使って視覚入力された画像を予測するデコーディング数理モデルを構築した。この数理モデルを、正常飼育と単一方位経験に相当する方位マップの自己組織化シミュレーション結果へと適用し、方位マップの構造が機能に及ぼす影響を入力画像のデコーディングという観点から調べた。ここでは、入力した画像とデコーディングされた画像との類似度を定義した。単一方位の視覚経験によって、経験した方位以外の方位に関する応答が低下するならば、入力画像とデコードされた画像との類似度は低くなるはずである。初めに、正常飼育をした場合に相当するシミュレーション結果を使って、正常飼育した時間と類似度との関係を調べた。その結果、正常飼育をした時間が長くなるほど細胞の方位選択性が高くなり、入力画像とデコードされた画像との類似度も高くなることがわかった。次に、単一方位の視覚経験に相当するシミュレーション結果に対して、経験した方位と同一方位の刺激パターンと直交する方位の刺激パターンのデコーディングをおこなった。その結果、経験した方位の類似度は正常飼育のみの場合よりも高くなることがわかった。これは、経験した方位に応答する細胞の数が増加することが原因であると結論された。一方、経験した方位と直交する方位刺激に対しては、類似度は経験した方位の2/3程度と低くなり画像も不鮮明になるが、全くデコーディングができないというわけではなかった。このことは、動物の行動実験とも矛盾がないと考えられる。これまでの研究成果を北米神経科学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の目標としていた、デコーディング数理モデルの構築、正常飼育と単一方位飼育に相当するシミュレーション結果に対してデコーディング数理モデルを適用し解析するという目標はほぼ達成できた。方位マップという構造や細胞の方位選択性と機能との関係を、デコーディング数理モデルによって捉える方法を開いた。
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Strategy for Future Research Activity |
デコーディング数理モデルを、単一方位の視覚経験後にリカバーをおこなった場合に適用する。リカバーの過程では、方位マップが完全にリカバーされる場合と単一方位経験の痕跡が残る2つのフェーズが存在するが、デコーディング数理モデルによって、両者にどのような違いが現れるかを調べる。また、げっ歯類動物では、方位マップが存在しないことが知られているが、神経ネットワークの数理モデルを精緻化し方位マップが形成されないメカニズムについても研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文発表などには、シミュレーション結果やデータの解析をさらに加える必要があり、論文にまとめる作業が次年度に繰り越されたため。 英文校閲費用、論文投稿費用、国際会議での発表費用、計算機のコンパイラソフトウエアなどの購入費などに使用する予定である。
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