2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500326
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
中原 史生 常磐大学, コミュニティ振興学部, 教授 (10326811)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鯨類 / ハンドウイルカ / ハナゴンドウ / シャチ / 協力行動 / 比較認知科学 / 社会的知性 |
Research Abstract |
本研究は、鯨類のもつ協調的な社会的知性の進化的基盤を探ることを目的としている。24年度は、主に野外観察のための予備調査、飼育下における実験のための装置の準備、被験動物の馴致、訓練、実験を行った。 野外調査は、北海道羅臼周辺海域および釧路周辺海域において行った。対象種はシャチ、カマイルカであった。調査船上から目視観察、ビデオ撮影、曳航式水中音ステレオモニター装置(備品として購入)を用いた鳴音収録を行った。特に捕食行動、性行動などの協力行動に注目して観察を行ったが、観察機会は限られていた。 飼育下においては、九十九島水族館で飼育中のハンドウイルカとハナゴンドウを対象として、食べ物を介在しない状況での協力行動についての実験を行った。環境エンリッチメント用に作成したシャワー装置のシャワーとボタン間を同一個体が押して浴びることができない距離に改良し、他個体のためにボタンを押すかどうか実験を行った。その結果、自分が浴びることができなくても、ボタンを押すことが確認された。また、実験以外の場面での自発的交渉パターンを調べる目的に、ビデオ撮影を行った。 九十九島水族館では、ジャンピングキャッチボールと呼ばれる2個体の協力が必要な課題が展示プログラムの一環として行われている。ジャンピングキャッチボールとは、1個体がジャンプしながらボールを投げ、そのボールを他個体が空中でキャッチするというもので、ジャンプのタイミングがうまく合わないと成功しない。このジャンピングキャッチボールにおいて、2個体がタイミングを合わせるためにどのように協力しているか調べたところ、鳴音を用いてタイピングを合わせている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水族館での実験は、当初の予定と異なり、平成24年度に予定していた実験ではなく、平成25年度に予定していた実験を行った。餌を用いた実験の装置開発と訓練に時間がかかりそうであったことから、実験の順番を入れ替えており、25年度には餌を用いた実験が行える予定である。また、名古屋港水族館に移動したシャチの出産があったことから24年度は実験を行えていないが、子どもが成長して環境が落ち着けば、実験を実施できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は上記の水族館との協力体制を維持しつつ、研究を推進していきたい。野外調査においては、研究協力者の協力を仰ぎながら、精緻なデータ収集を行っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、3月に予定していた水族館での実験が、水族館の担当スタッフの突然の入院に伴い延期となってしまったころから、旅費に繰り越しが生じてしまった。この実験はすでに4月中に行っており、次年度は計画通り研究費を執行できる予定である。
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Research Products
(3 results)