2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500328
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中原 はるか 帝京大学, 医学部, 講師 (20302739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 貴久子 帝京大学, 医学部, 助手 (10439630)
室伏 利久 帝京大学, 医学部, 教授 (30242176)
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Keywords | 聴覚認知 / 一次聴覚野 / 内側膝状体 / mismatch negativity / 難聴 |
Research Abstract |
研究計画の1については、昨年の変更に基づき順調に進み、予定した実験をほぼ終了した。ラットにおいて、中枢聴覚で認知機能に関係あると考えられている、内側膝状体と一次聴覚野の両者を同時に計測するシステムを構築した。具体的には、ラット一次聴覚野に64個の電極をもつ表面電極を置き、その電極の間を通る3本の刺入電極を用いて、内側膝状体に至り、この両者を用いて、内側膝状体、一次聴覚野VI層からI層、さらにAEPを同時に測定することに成功した。内側膝状体に正しく挿入されていることは、組織学的に染色を行い確認した。得られたデータは、今まで、一次聴覚野・内側膝状体、個別に得られていたものと一致した。次に、認知機能を調べるために、この両者でほぼ等しいCharacteristic Frequency(CF)を持つ部位を選び、oddball pardigmを用いたmismatch negativity(MMN)の測定を試みた。この結果、一次聴覚野表面から深層に至り、MGBまでの刺激音への反応の変化を同時に測定することができた。実際のspikeとlocal field potentialから、それぞれの部位での認知能を表す値をSSA(stimulus specific addaptation) indexとして定義し計算を行った。結果として、内側膝状体では、刺激に忠実に追随する一方、一次聴覚野では、刺激をある程度無視する、したがって、次の反応への準備をしている状態を作ろうとする傾向があることがわかった。これらの結果は、2014年2月にSan Diegoで開かれたAROで発表し、会場、またその後にも多くの問い合わせを受けた。 研究計画の2については、耳鼻臨床に論文の投稿を行い、受理され、論文として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1については、聴覚認知機能に大きな寄与をしている一次聴覚野と内側膝状体での同時計測に成功、認知機能の指標の一つとなるoddball paradigmを用いたSSAの評価にを達成した。音という3次元的な広がりをもつ感覚刺激を、中枢聴覚野を通じて記録できたことは画期的なことであると考える。また、何より、一次聴覚野と内側膝状体両者で、MMNの計測を試みたことは今までに報告のないことであり、San Diegoで開かれたAROの会場でも多くの質問を受け、研究者の関心の強さがうかがわれた。結果として得られた、一次聴覚野は、内側膝状体ほど繰り返し刺激に追随しない、ということは、一次聴覚野に至るまでに、すでに音の選択は行われている可能性を示していると考えられ、聴覚認知に関するselective gating の解明に寄与する成果であると考える。 研究計画2については、論文が受理され、報告された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画1については、追加実験の可能性がある。今までに得られたデータが、3次元のデータで立体的に、また時間的に、膨大なものであり、多方向からの検討が必要なため、まだすべての処理が完了しているわけではない。多くの可能性を検討し、matlabを用いて位置的な関係性、また時間的な関係性の処理を進め、必要があれば、追加実験を考える予定である。 研究計画2については、雑音負荷下においての、耳音響放射、言語刺激を用いての認知機能の研究を行いたかったが、時間的な制約が厳しく、まずは、研究計画1について実験を終了させる方向で考えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験結果の解析が進むとでさらなる実験の追加が必要になると考えられ、そのために予算を繰り越したい。 追加実験での電極の費用と、論文掲載料として。
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Research Products
(2 results)