2014 Fiscal Year Research-status Report
姿勢と音:器楽演奏の巧みさとその身体的基盤の解明に向けた生態心理学的アプローチ
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24500333
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
丸山 慎 駒沢女子大学, 人文学部, 講師 (60530219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 昌夫 藤田保健衛生大学, 医療衛生学部, その他 (40367694)
古山 宣洋 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20333544)
三嶋 博之 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (90288051)
野本 由紀夫 玉川大学, 芸術学部, 教授 (50407748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知科学 / 生態心理学 / 巧みさ / 理学療法 / 器楽 / 自己効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、器楽演奏の“巧みさ”を支えている知覚的・身体的スキルの構造とその学習過程について、近年の運動研究および生態心理学的な観点から分析を行うものである。本研究では特に(1)楽器の操作に直接関係する指や手、腕だけではなく、全身の連鎖構造(体幹や腰部)の関与の解明、および(2)全身の協調の乱れ(姿勢の歪み)によって本来の演奏スキルが発揮できなくなっていると感じている演奏者を対象とした理学療法的介入の効果の検討、(3)音楽の実践者を対象とした観察・面接調査をもとにした音楽演奏における身体協調に関する質的検討といった課題を焦点としている。本研究は、これらの課題を実証的に検証することによって、知覚と身体行為との「再接続」という観点から器楽演奏における巧みさの基盤を明らかにすることを目的としてきたのである。これまで研究分担者である理学療法士およびそのグループとの打ち合わせを行い検討すべき問題の詳細について議論し、研究代表者本人が被験者となり、実際に身体のバランスや身体軸の知覚について予備実験を行った。一方で、計測機器(体圧分布測定システム)の導入および新たな計測機器(重心軌跡測定器)の導入などで計測するポイントを多角化するための検討を行った。昨年度は全ての実験機材を整えた上で、理学療法士を含む研究分担者らと最終的な実験デザインを決定した。また音楽演奏の実践者との面談調査(インタビュー調査)に関してはデータの収集ができ、対象者の発話内容を「テキストマイニング」の手法を用いて分析し、その成果の一部を用いて学会にて話題提供を行った。また本研究の主題の背景となっている理論的観点に関するレビュー論文を公刊するなどの成果も収めてきた。現在は、実験的研究と質的研究のそれぞれの成果をあわせて包括的な成果公表を目指して調整を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画には含めていなかった計測項目を試験的に追加することにし、その計測にかかる機器の導入などを行ったために、研究スケジュールに遅れが生じた。一方、音楽演奏の実践者に対するインタビュー調査の質的検討に関しては、発話データのテキストマイニングによる分析を行うことができ、その点に関しての進捗はおおむね順調であるということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度中に修正した実験デザインの詳細については打ち合わせができており、今後はできるだけ早い時期に本実験の実施・データ解析を進めていくことができると考えている。またインタビュー調査についても、新たな調査対象者のリクルート等に関する打ち合わせができており、早期に新規データの追加収録と分析を進めていくことができると考えている。
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Causes of Carryover |
計画当初に使用を予定していた計測器材による計測を検討したところ、計画通りのデザインでの計測が困難になる可能性が浮上し、その部分を補うことを目的として、新たな計測装置を導入して計画の一部拡張を行った。それゆえ次年度もデータ収集を継続する必要が生じたため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画の一部見直しと拡張を行ったために遅れが生じたが、計測機器の導入および実験実施のスケジュールに関しては研究分担者らとも理解を共有しているので、次年度は速やかにデータ収集と分析を行うことができる。そのため次年度における未使用額の使途は、実験協力者への謝金と研究分担者の交通費、消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)