2014 Fiscal Year Research-status Report
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24500339
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
寒河江 雅彦 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20215669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ノンパラメトリック統計学 / カーネル関数 / 方向統計 / ネットワークデータ / フォン・ミーゼス分布 / 完全空間ランダム性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究実績は、下記の通りである: ①ネットワーク上の確率変数に対して、分岐、閉路上で適用可能な確率密度関数を定義した。具体的には、新しいカーネル関数を用いたノンパラメトリック確率密度関数を定義した。満たすべきカーネルの公理的な定義を行い、この確率密度推定量がネットワークの一様性をチェックするために完全空間ランダム性に関して不偏性をもつことを示した。 ②上記のネットワーク上のデータ構造で取り扱いが難しいサイクル(閉路)型のネットワーク構造にも対応する確率変数として、新しく角度確率変数に対応する方向カーネル確率密度関数を導入した。この角度データを扱うための方向カーネル密度推定の問題に取り組み、現在、角度バンド幅パラメータの推定理論を構築中である。
①,②に関する成果は、平成27年3月の「第16回ノンパラメトリック統計解析とベイズ統計」シンポジウムにて、タイトル「ネットワーク上のフォン・ミーゼス型カーネル密度推定法」で発表を行った。 また、ノンパラメトリック統計の判別問題に関して、今年度の成果について平成26年11月、日本OR学会 中部支部研究会にて、タイトル「統計的非線形判別分析法とその周辺」で講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワーク上のデータ構造に対応できるノンパラメトリック統計モデルを構築した。このノンパラメトリック統計モデルの理論上の焦点となる平均積分2乗誤差の導出とバンド幅推定に関する議論の見通しがついたことである。 また、異なるネットワーク上のデータの類似性や差異を測るために、推定後の密度推定値間の近さや類似度を測るために判別分析法の開発も平成25年から平成27年にかけて完成しつつある。その成果は、日本統計関連学会連合大会、及び、研究集会で発表し、現在、論文投稿の準備に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究期間は、平成27年度を含めて、あと2年を残し、後半となる。今後は、方向カーネル関数によるノンパラメトリック密度推定で重要な漸近理論に基づいた平均2乗誤差とバンド幅の推定を解決する予定である。そして、ネットワーク上のデータに実際に適用できるソフトウェアをオープンソース言語「R」にて、構築し、実装化する予定である。
今後の研究展開の方向として、ネットワーク上のホットスポットを検出するための検定法の開発とネットワークの類似性を測る尺度を導入し、ネットワーク構造の差異や類似性を調べるための乖離の程度を測る尺度を開発する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度の経費に含まれている研究集会「第16回ノンパラメトリック統計解析とベイズ推定」の運営費のうち、講演者の旅費部分が、東京近郊からの講演者が多かったこと、遠方の講演者でも自身の研究費や科研費を利用したことから、旅費の支出が少なかった。また、会場費が慶応大学日吉キャンパス内の教室を利用したこと、研究集会の幹事の一人が同大学のため費用が掛からなかったことから、次年度繰越額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究集会では、旅費の支援を講演者及び共著者及び若手研究者へと支援の範囲を広げて、繰り越した金額を研究集会の成功のために利用する予定である。
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