2012 Fiscal Year Research-status Report
非定常信号モデルとその係数推定手法の開発および時変スペクトル表現の提案
Project/Area Number |
24500342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
井嶋 博 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (90397604)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非定常信号(フランス) / 時変モデル(フランス) |
Research Abstract |
本研究は,統計的性質が時々刻々変化する非定常不規則信号を表現するための数学モデルを構築し,そのモデルに含まれるパラメータを推定する新しい手法の開発と,その推定された係数を用いた時変なスペクトルの表現手法について検討することを目的としている. 初年度は,時変係数を持つ自己回帰モデルに着目し, 白色雑音が付加された観測データから時変係数を推定する問題を取り扱い, 次の3点を実施した.i) 基底関数で表現されたモデル係数の最小二乗法による重み推定手法の開発.ii) トラッキングによる推定手法の開発.iii) 提案した手法の比較,性能評価. i)において提案した手法は, Grenierが用いた, 時変係数を基底関数と重みパラメータで表現する方法を基本に非定常信号のモデル化を行い最小二乗法を用いるといったすでに提案されている手法に,観測データに付加されている,白色雑音により発生する推定値のバイアスの問題を,①雑音の部分空間を基にした一般化固有値解析を用いた手法,②EIV(errors-in-variables)で解決するといった新しい手法を組み合わせて開発行った.またii)において,トラッキング問題でターゲットの運動を表現する数学モデルを,本研究における係数の時間変化に応用し, カルマンフィルタやパーティクルフィルタなどを用いたパラメータ推定手法を開発した.iii)ではi)およびii)で開発した各手法の有効性の確認とそれぞれの手法の比較をコンピュータシミュレーションにより比較した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,時変-自己回帰モデルの係数推定問題に対して観測されるデータに白色雑音が付加された場合について,基底関数で表現された係数の最小二乗推定手法を開発し,カルマンフィルタなどによるトラッキング手法,キュムラントを用いた推定手法と比較し性能評価を行った.また提案手法の応用として非定常雑音と定常雑音に乱された信号の検出に用いた.これらの研究成果を,雑誌への掲載論文1編および国際会議論文1編としてまとめた. これらの結果より当初の研究計画を予定通り遂行しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発した白色雑音に乱された時変-自己回帰モデルの係数推定手法を基にして,2年度以降ではこれを有色雑音に乱された場合の推定に拡張させる.また,時変スペクトル表現についての調査を引き続き実施する。さらに本研究で提案する手法の有効性の確認と,幅広い応用例について検討する 本研究では従来から提案されている様々な推定手法に対してそれらの能力をコンピュータシミュレーションおよび実実験により比較するといった方法により進めている.しかし当初予定していた研究補助員の確保が十分でなかったことから,実験用物品の購入を見合わせていた.今後は実験の準備を早急に進め,さらに新たなコンピュータを導入し効率よく研究を遂行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に購入を見合わせた電子部品を含め,主に実験用センサおよび電子部品の購入,コンピュータ,出張旅費,会議参加費,謝金の5項目での使用を計画している.
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