2013 Fiscal Year Research-status Report
大学院における統計教育システムの構築についての研究
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24500348
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田栗 正章 中央大学, 理工学部, 客員教授 (10009607)
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Keywords | 大学院統計教育 / 参照基準 / 統計教育組織 / 統計教育授業形態 / クラス分けテスト |
Research Abstract |
大学院における統計教育についての総合的な研究を、教授内容、教育組織、教育の方法に関わる3つの研究課題(A),(B),(C)に分けて行った。 第1に、「(A) 大学院における統計学分野の教育課程編成上の参照基準についての検討」に関しては、その前提となる大学学部における統計教育の内容が問題となるため、平成22年度に作成された現行の“参照基準”を基に、かなり大幅な改訂を行った。この過程で、大学院における統計教育は、専門分野や教育内容のレベル等において、極めて多種多様であることが判明した。そこで、学部の参照基準を作成する際に、各専門分野ごとに、大学院での統計教育や社会との接続をふまえて改訂を行うことにした。この新しい“参照基準”は、統計関連学会連合の承認を得て、平成25年度末付けでWeb page に掲載され、また印刷物としても刊行される予定である。 第2に、「(B)大学院における新しい統計教育システムの構築についての検討」に関しては、統計関連の教員が多く、かつ他大学院の参考になると考えられるような工夫された教育組織・授業形態等を有している研究科/専攻として、同志社大学大学院文化情報学研究科および岡山大学大学院環境生命科学研究科を調査対象に選び、数名の担当教授から話を聞いて質疑を行う等、詳細な実地調査を行った。その結果、組織形態・授業開設形態の実情が判明し、また“統計関連組織”についてのいくつかの新たなアイデアも得られた。 第3に、「(C)大学院における統計教育のクラス分けテスト等についての検討」に関しては、大学入試センター研究開発部教員グループとの共同研究として、基礎的学力測定のための「数理分析力」の調査とその結果の分析等を行い、目的とするテスト作成についてのいくつかの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題「(A) 大学院における統計学分野の教育課程編成上の参照基準についての検討」に関しては、上述したように、専門分野に亘るバラツキが極めて大きいことが判明した。そこで、大学学部の“参照基準”の改訂版では、一部大学院教育における“参照基準”としても使用できることを意識してその作成を行った。また、最終年度の平成26年度には、(B)の研究において調査対象とした大学院におけるカリキュラムを多少普遍化した案もまとめ、様々なタイプの大学院における教育課程編成の際に資する情報を提供し、大学院における“参照基準”としてまとめる予定である。 研究課題「(B)大学院における新しい統計教育システムの構築についての検討」に関しては、同志社大学および岡山大学以外にも、いくつかの大学院研究科を訪問して実地・面接調査を行う計画を立てていたが、日程的な調整ができず、上記2大学およびシンガポール国立大学に対する実地・面接調査しか行うことができなかった。最終年度の平成26年度には、早期に日程調整を行い、できるだけ多くの大学院を訪問して調査を行い、得られた成果をまとめる予定である。 研究課題「(C)大学院における統計教育のクラス分けテスト等についての検討」に関しては、大学入試センターと共同で何種類かの問題を開発し、それらを用いたかなり大規模なモニター調査を行い、その予備的検討を行った。これらはクラス分けテストの検討のために必要な準備作業であったが、かなり時間を要する作業になってしまった。最終年度の平成26年度には、それらの結果を踏まえて、適当と判断された問題を集めた冊子を使用し、大規模なモニター調査を行い、その結果を分析することにより、研究課題についての知見をまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題「(A) 大学院における統計学分野の教育課程編成上の参照基準についての検討」、研究課題「(B)大学院における新しい統計教育システムの構築についての検討」、および研究課題「(C)大学院における統計教育のクラス分けテスト等についての検討」を並行して行い、それぞれについての研究成果をまとめる。 (A)については、まず、(1) 平成25年度に作成した「大学学部参照基準」を基に、各学問分野に応じて、大学院における教育課程編成の際に参考にし得る情報をまとめる。さらに、(B)における調査結果を基に、各大学院におけるカリキュラムを多少普遍化した案を作成し、様々なタイプの大学院における教育課程編成の際に資する情報をまとめる。そして、(3) 以上2種類の情報をまとめることにより、大学院における“参照基準”とする予定である。 (B)については、まず、(1) 出来るだけ多く(10程度)の大学院研究科について、組織形態や授業開設形態についての実地調査を行う。その後、(2) それらの調査結果をまとめ、他の大学院研究科の改革等に資するような形式にとりまとめた冊子「大学院における新しい統計教育システムの構築について」(仮題)を作成する。もし時間的余裕があれば、(3) 関係団体や関係大学院に冊子を配布し、コメント等をもらって改良を行う。 (C)については、まず、(1) 平成25年度までの共同研究において作成された問題冊子を用いた、かなり大規模なモニター調査を行う。次に (2) この調査結果を解析し、どのような研究科/専攻に対して、どのような種類のクラス分けテスト問題で試験を行えば、その後の教育効果が挙がるかについての予測を行い、それらの検討結果をとりまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度からの繰越金(残金)は約25万円である。これは、平成25年度中に、九州大学大学院および久留米大学大学院を訪問して実地・面接調査を行う計画を立てており、それを実施するための経費であった。しかし、日程調整ができず平成26年度に繰り越したものである。 繰越金の約25万円は、当初の予定通り、上記2つの大学院(九州大学大学院および久留米大学大学院)を訪問して実地・面接調査を行うために使用する予定である。
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