2012 Fiscal Year Research-status Report
非計量データの多変量解析における交互最小二乗法の加速に関する研究
Project/Area Number |
24500353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
黒田 正博 岡山理科大学, 総合情報学部, 准教授 (90279042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 裕一 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (80230085)
足立 浩平 大阪大学, その他の研究科, 教授 (60299055)
榊原 道夫 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (70215614)
飯塚 誠也 岡山大学, その他の研究科, 講師 (60322236)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非計量主成分分析 / 交互最小二乗法 / 収束の加速 / vector epsilon法 |
Research Abstract |
今年度の研究では,非計量主成分分析に用いる交互最小二乗法の加速に焦点をあて,vector epsilon (ve)法による加速法の開発とその加速性能を数値実験により検証するとともに,実データによる変数選択問題に適用することで,この加速法の加速性能を検討した. この研究で加速の対象としたのは,交互最小二乗法であるが,この反復法は数値計算における安定性に優れており,乱数データによる実験においてすべての場合で収束した.このため,様々な反復回数でのve加速法の加速性能を調べることができた.また,加速法が必ず速く収束するという結果も得た.数値実験による結果から,交互最小二乗法の反復回数が多い場合について,ve加速法がより有効に働くという加速法として優れた性能を有していることがわかった.この性質は,最適な観測変数群を選択する変数選択問題において非常に重要であり,事実,反復回数と計算時間の両方において大幅な短縮をおこなうことができた. さらに,我々の提案しているve加速法の収束を改良する2段階加速法の開発にも取り組み,その成果を得ることもできた.この研究は,申請時の研究目的にはなかったものであるが,ve加速法の理論研究の過程において,関連文献からヒントを得たものである.提案した2段階加速法では,Graves-Morris法とve法を組み合わせるため1回の反復あたりの計算時間は増加するが,全体として反復回数と計算時間の短縮を可能にすることをve加速法との比較による数値実験で実証した.この2段階加速法の変数選択への適用と,その加速性能に関するve加速法との比較については次年度の研究課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度での研究は,3つの課題に取り組むことであった. 第1課題は,等質性分析における交互最小二乗法の加速法の研究である.等質性分析で用いられる交互最小二乗法のアルゴリズム研究は,共同研究者である足立先生の著書およびこのアルゴリズムの開発者達の原著論文を調べることで完了した.ve加速法の適用については,等質性分析のための交互最小二乗法のプログラムを完成することができなかったため,これについての成果を得ていない.共同研究者とともに至急にプログラムの完成を目指す. 第2課題の非計量主成分分析の交互最小二乗法の収束性については,その証明を与えることができなかった.問題の1つは,交互最小二乗法の各反復で解く固有値問題の扱いである.この分析法に対する交互最小二乗法には,幾つかのバリエーションがあり,固有値問題を別の方法で回避しているアルゴリズムが存在することもわかった.そこで,これを非計量主成分分析の交互最小二乗法の基本アルゴリズムとして,この課題の解決を目指す. 第3課題については,大規模な乱数データによる変数選択問題においてve加速法の性能を評価することができた.したがって,この課題は完了したと考えている.上記の「研究実績の概要」で述べたように,2段階加速法を開発したので,これの加速性能をve加速法と数値実験により比較検討をおこなうことを考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の「現在までの達成度」に示した3つの研究課題について,第2課題以外については完了または解決への目途がついた状態であると考えている.次年度は,この年度に解決できなかった研究課題にうち,第1課題についてまず取り組むことを考えている.そこで,等質性分析のための交互最小二乗法のプログラム開発をおこなうため,新たに研究分担者を1名追加することにした.これにより,早い時期に等質性分析における加速法の研究に取り組むことができると考える.第2課題については,今年度と同様にゼミナールや文献をあたりながら問題の解決を目指す. また,得られた成果については積極的にその発表をおこなっていくことで我々の開発している加速法の有用性をより広く知らしめることは重要である考えている.そのためには,理論的研究を発表する学会だけではなく,応用研究を主体とした学会に参加し成果を発表することも必要であると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費で計上していたワークステーションの購入を取りやめた.この理由の1つは,大規模な数値実験に使用できる高性能コンピュータを利用することができたためである.もう1つの理由は,「今後の研究の推進方策」に記したように研究分担者を1名追加し,研究課題の早期解決を考えたためである.その分担者へ配分する分担金として使用することを考えた.さらには,応用研究を主とる学会参加への費用として使用することを考えている.
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Research Products
(6 results)