2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
逸見 昌之 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (80465921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(英国) |
Research Abstract |
本年度はまず、バイオインフォーマティクスや脳科学といった分野で行われているメタアナリシスの現状を調べ、統一的な観点から「探索的メタアナリシス」の方法論の構築の可能性を探った。これについては問題の構造は見かけほど単純ではなく、一筋縄では行きそうにはない状況ではあるが、これらの分野では別の目的でもメタアナリシスが行われうるので、そのような面にも目を向けながら今後も検討を続けていく予定である。また、本年度は機械学習における「共変量シフト(密度比による重みづけ)」や因果推論などで使われる「傾向スコア」を用いたメタアナリシスのための予備的な研究も行い、それぞれ統計学関連の国際会議で発表を行った。これらはまだ直接はメタアナリシスに結びついていないが、今後これらを用いた新たなメタアナリシスの方法を考察していく上で重要になってくるものと思われる。さらに、医学研究における伝統的なメタアナリシスの総まとめも行い、チュートリアル的な解説論文を執筆した。これは、システム制御情報学会の学会誌に掲載されたが、上記以外の他分野においてもメタアナリシスへの興味や需要を喚起する1つのきっかけになるものと期待され、また、従来型のメタアナリシスの総まとめを行ったことは、今後の研究の足掛かりになるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、総合的観点からのメタアナリシスの方法論の構築に向けて、主にバイオインフォーマティクスや脳科学といった分野におけるメタアナリシスの現状調査を中心に、下調べや予備的な研究を行ったが、あまり予定通りにはいかなかった。1つには問題そのものの想定していた以上の難しさという点も大きいが、連携研究者との議論も十分ではなかった。英国訪問も行えていない。今後は、臨機応変に問題を捉えながら、関連する研究者との議論も深めていきたいと考えている。しかしながら、機械学習関連の予備的研究を行ったことや、医学研究における従来からのメタアナリシスの総まとめを行ったことは、今後の展開に生きてくると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオインフォーマティクスや脳科学などにおけるメタアナリシスの方法論の検討も引き続き行っていくが、今年度は、主にマルチタスク学習などの機械学習に関連する問題を中心として、総合的観点からのメタアナリシスの研究を行っていく。そのためにこの分野に詳しい連携研究者等の協力を仰ぎ、機械学習に関する個別の問題に取り組みながら、バイオインフォーマティクス・脳科学などにおけるメタアナリシスの問題や、医学統計などにおける伝統的なメタアナリシスの方法論との関係について探っていきたい。今年度は、博士後期課程の学生が医療分野における予測モデルのメタアナリシスについての研究を開始しており、本研究プロジェクトの方向性とも関連が深いので、研究課題の1つとして位置付ける。また、国内の医学統計の研究者グループと疫学などにおける回帰モデルのメタアナリシスに関する共同研究も開始しており、これも関連のあるテーマなので、情報交換など行っていく予定である。昨年度は英国の研究者との議論は行えなかったが、今年度は渡英し、主に医学研究におけるメタアナリシスの最近の動向調査と議論を行いたい。さらに上記の分野だけに特化せずに、状況に応じて、社会科学などの分野などで行われているメタアナリシスなどにも目を向けていこうと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」が生じた主な理由は、予定していた渡英ができなかったことであるが、今年度は英国に行って、Royal Statistical Societyの国際会議に参加するとともに、英国の研究者とも議論を行う予定である。コンピュータと書籍の購入以外は、いくつかの国際会議参加のための参加費と旅費、さらに国内外の関連する研究者(連携研究者を含む)と議論を行うための旅費として、研究費を使用させていただきたいと考えている。
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