2012 Fiscal Year Research-status Report
シークエンスに基づく比較トランスクリプトーム解析のためのガイドライン構築
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24500359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門田 幸二 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任准教授 (60392221)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トランスクリプトーム / 正規化 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
本研究では、RNA-seqデータ解析を感度・特異度高く行うための手法開発および手法選択のガイドラインの策定を目的としたものである。比較トランスクリプトーム解析の一般的な手順は、「①データ正規化→②発現変動遺伝子(DEG)検出」の2ステップで完結するが、データ正規化時に高発現DEGが悪影響を及ぼすために結果的に真のDEGが上位にランキングされなくなるという問題が認識されはじめている。平成24年度は、以下の事柄を行った: 1. 一般によく行われる二群間比較用のbiological replicatesの様々なシナリオ(全遺伝子に占めるDEGの割合や偏り)からなるシミュレーションデータを自在に作成できるプログラムの開発を行った。 2. 正規化法の内部で「DEGの検出および除去」を行うステップを組み込むことでより頑健な正規化を目指したDEG elimination strategy (DEGES)という新たな正規化戦略の概念を提唱した。 3. 内部的に用いるDEG検出法として、感度・特異度の高いマイクロアレイ解析手法WADおよび既存のRNA-seq用の統計的解析手法の評価を行い、WAD法の有用性を確認するとともに、DEGES戦略を実装したプロトタイプの正規化パイプライン(TbT法)の理論性能を評価した論文をまとめた。 4. 一連のプログラムを一般ユーザーが手軽に利用できるように、ウェブページ「(Rで)塩基配列解析」上で公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はWAD法を内部的に用いた正規化法が、一番優れているのではないかという予想を立てていたが、WAD法は(倍率変化を用いたときと同様に)DEG数を合理的に見積もる手段が存在しないため、客観的な閾値をどう決定するかについて検討の余地が残る。しかし、DEGES戦略を実装したプロトタイプの正規化パイプライン(TbT法)に関する論文が既に公開されており(当初計画では論文投稿レベル)、上記WAD法の弱点の発見および対策に取り組み始めることができたという点において、当初の計画以上の進展があったと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きWAD法を中心としたマイクロアレイ用解析手法およびRNA-seq用の統計的なDEG検出法の性能評価を行いつつ、研究開始時点で想定していた実験デザインおよびそれ以外の実験デザインにより得られたデータ解析ためのガイドライン策定を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ解析結果を保存するストレージサーバが枯渇してきたため、年度末近くまで様子を見ながら、当初予定の計算用サーバからファイルサーバの購入に変更した。シミュレーション解析が中心のため、残りの予算の範囲内で購入可能な計算サーバにするかその他の費目にするかについては、投稿論文修正時に要求される計算量にも依存するため、費用対効果を第一に臨機応変に対応する。
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Research Products
(6 results)