2013 Fiscal Year Research-status Report
シークエンスに基づく比較トランスクリプトーム解析のためのガイドライン構築
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24500359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門田 幸二 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任准教授 (60392221)
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Keywords | バイオインフォマティクス / トランスクリプトーム / RNA-seq / 正規化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、RNA-seqデータ解析を感度・特異度高く行うための手法開発および手法選択に関するガイドラインの策定である。平成24年度に開発したRNA-seqデータ正規化パイプラインTbTは、正規化法の手順内部に発現変動遺伝子検出を包含した複数ステップからなる頑健な方法であったが、計算時間の高速化、およびエンドユーザが利用しやすいようプログラムのパッケージとしての配布が課題であった。平成25年度は、開発した正規化法をフリーソフトRのパッケージとして実装し、Bioconductorというリポジトリから配布(http://bioconductor.org/packages/release/bioc/html/TCC.html)するとともに論文発表を行った(Sun et al., BMC Bioinformatics, 2013)。 論文中では、バイオインフォマティクス分野で最もよく用いられる2群間比較の実験デザインで評価を行ったが、2013年10月リリースのTCCパッケージ ver. 1.2.0において、3,4群間比較用の正規化パイプライン構築を行った。また、正規化法内部のDEG検出ステップにおいてマイクロアレイデータ2群間比較解析用のWAD法(Kadota et al., AMB, 2008)や多群間比較用のROKU法(Kadota et al., BMC Bioinfomatics, 2006)もTCCパッケージに実装し、包括的なトランスクリプトーム解析パッケージとしての利便性を高めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書作成時には、RNA-seqデータにもマイクロアレイデータ解析用に開発された解析手法WADがうまく機能するのではという着想のもとに研究を進めてきた。実際、WAD法を組み込んだ方法は、RNA-seq用に開発された従来法に比べて高い性能を示すことは確認された。しかし詳細な比較検討の結果、TCC論文の結論で示したようにRNA-seq用に開発されたDEG検出法を正規化法内部に組み込むほうが高い性能を示すことが判明した。つまり、マイクロアレイ解析手法を用いて既存のRNA-seqデータ解析手法に打ち勝つという所期の目的は達成したという点において概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2群間比較用で確認された推奨データ解析ガイドラインの有効性を3,4群間比較などの多群間比較用データで検証し、論文としてまとめる。また、未対応の実験デザイン(paired dataなど)への拡張を引き続き行い、原著論文、解説記事、著書、学会発表などを通じて研究成果の普及に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に当初予定の計算用サーバからファイルサーバの購入に変更したことが大きな理由として挙げられる。 学会発表、研究打合せ、英文添削、論文発表にかかる費用を中心に使用予定である。
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Research Products
(11 results)