2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林田 守広 京都大学, 化学研究所, 助教 (40402929)
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Keywords | カーネル関数 / タンパク質複合体 / サポートベクトルマシン / 条件付き確率場 / 正則化 / タンパク質RNA相互作用 |
Research Abstract |
タンパク質が複数個結合して形成されるタンパク質複合体の同定は生体内の分子間ネットワークの解明に有用である.以前の研究では,ヘテロ二量体に対する予測手法を,タンパク質相互作用の信頼度または内包するドメインの数に基づく特徴ベクトルと,タンパク質のドメイン構成の等価性に基づくカーネル関数を提案し開発した.ヘテロ二量体に加えてヘテロ三量体はタンパク質複合体全体において大きな割合を占めるにも関わらず予測手法はほとんど提案されていないため,ヘテロ三量体に対する予測手法を,二量体に対する手法を拡張することで開発した.具体的には,三量体どうしでの特定のタンパク質の共有度合いを考慮し,二段階での教師付き学習を導入した.一段階目では,二量体での特徴ベクトルを拡張したベクトルをもとに,三つのタンパク質が三量体を形成するかどうかをサポートベクトルマシンを用いて学習する.二段階目では,対象となるタンパク質の集合と少なくとも一つのタンパク質を共有するタンパク質の集合が,一段階目の識別関数によってどの程度三量体を形成する可能性があるのかを特徴ベクトルとした.交差検定による計算機実験の結果,提案手法が良好な予測精度を示すことを確認した. この他に,以前に提案したタンパク質RNA相互作用におけるアミノ酸残基,塩基間の条件付き確率場モデルによる予測手法の改良を行った.局所的特徴として多重配列アラインメントから得られる相互情報量と,アミノ酸,塩基のラベルを用いた.L1ノルムの正則化項を加えたlassoによるパラメータ推定を行うことで,lassoを用いない場合よりも予測精度を改善した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質は生体の生命維持にとって重要であるだけではなく,様々な生命現象においてその一端を担う.本研究課題の目的は,タン パク質の構造と機能の間の関係の理解を深めるために,共通の機能を示す部分構造のモデル化を行うことと,このモデルを利用した,より高精度の相互作用予測手法を開発することである. 当該年度においては,部分構造のモデル化ではタンパク質RNA相互作用に対する予測精度の改善によって,タンパク質部分構造の相互作用確率モデルが改良された.また,本研究課題の目的の一つであるタンパク質複合体を精度良く予測する手法の開発を通して,タンパク質に内包される部分構造に対する理解がより深まった.
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Strategy for Future Research Activity |
共通の機能を示すタンパク質部分構造のモデル化については,条件付き確率場を用いた予測手法のさらなる精度向上をめざす一方,複数のタンパク質構造からの類似構造を抽出する新たな手法の開発を検討する.具体的には,画像処理分野で研究されている物体認識や共通する特徴の抽出などの技術の応用を検討する.さらに,タンパク質構造を圧縮した上で比較する手法の開発を検討する.また引き続き,ヘテロ二量体などのタンパク質複合体の予測手法の精度向上を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
採録決定済論文についての掲載費の請求の可能性があるのでこの費用に備えた. 論文掲載費の請求があればこの費用の不足分に使用する.
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Research Products
(7 results)