2014 Fiscal Year Research-status Report
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24500361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林田 守広 京都大学, 化学研究所, 助教 (40402929)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質立体構造 / SIFT / SURF / タンパク質相互作用強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的の一つであるタンパク質部分構造のモデル化について,画像処理技術を応用した手法を開発した.本手法ではタンパク質立体構造をCα原子間の距離行列で表現し,それぞれの距離を離散化することで距離行列を画像とみなすことができる.画像認識分野において回転および拡大縮小について不変である局所特徴量を計算する効率の良い手法としてSIFTとSURFが知られており,これらをタンパク質立体構造の距離行列画像に適用した.このアプローチの一つの応用としてタンパク質立体構造間の類似度指標を提案した.比較対象の二つの立体構造についてそれぞれSIFTまたはSURFの局所特徴量ベクトルを求め,対応するベクトル間の距離の平均として類似度を定義した.いくつかのデータセットについて構造分類問題としてROC曲線を用いた評価を行った結果,既存のMSPC-ACDなどの手法よりも良く立体構造を分類できた.また最短距離法による階層的クラスタリングによって階層的な関係もある程度正確に構築できることを確認した.さらに類似度の計算時間については,評価に用いたほとんどのタンパク質ペアについて数十ミリ秒以内と高速に計算できることを確認した. この他に,タンパク質間相互作用の強度を予測する手法を関連ベクトルマシンなどを用いて改良した手法を論文にまとめ発表した.計算機実験による評価では,タンパク質のドメイン領域におけるアミノ酸配列を用いた特徴量が強度予測に有用であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体が生命を維持する上でタンパク質は重要な役割を果たすだけではなく,様々な生命現象においてその一端を担っている.本研究課題の目的はタンパク質の構造と機能の間の関係の理解を深めるために,共通の機能を示す部分構造のモデル化を行うこととこのモデルを利用したより高精度の相互作用予測手法を開発することである. 当該年度においては,画像認識分野でよく知られた画像の局所特徴量を抽出するSIFTあるいはSURFを活用して,タンパク質立体構造から得られる距離行列に対する高速かつ精度の良い部分行列の抽出を実現したことで,今後の研究において多数のタンパク質立体構造に対する網羅的な特徴抽出が可能になると期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
多数のタンパク質に類似する部分構造の抽出については,現在までに開発した画像認識に利用されるSIFTおよびSURFを応用した手法の改良を行い,多数の立体構造に対して網羅的に類似構造を抽出することを目指す.しかしながらSIFT,SURFはある一定の範囲の整数値である画素に基づき計算される.これまでの研究においてもCα間の距離を離散化しこの範囲に収めることでSIFTまたはSURFを適用した.今後の研究では,この点を連続値である距離に修正する等の改良を行うとともに計算機上に実装し多数のタンパク質立体構造に適用する.必要に応じて高速化のために並列化を行うことも検討する. またタンパク質複合体やタンパク質アミノ酸残基間相互作用,タンパク質相互作用強度等について,相互作用モデルの検討を行い予測精度の改良を目指す.
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Causes of Carryover |
採録決定済論文についての掲載費の請求の可能性があるのでこの費用に備えた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文掲載費の請求があればこの費用の不足分に使用する.
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Research Products
(4 results)