2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模ニューロン・グリアネットワークの遺伝的アルゴリズム解析による脳動作原理解明
Project/Area Number |
24500365
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
田村 義保 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (60150033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
染谷 博司 東海大学, 情報理工学部, 講師 (00333518)
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
岡田 泰昌 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター), 電気生理学研究室, 室長 (80160688)
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Keywords | カルシウムイメージング / アストロサイト |
Research Abstract |
ニューロンとグリア細胞(特にアストロサイト)による脳の動作原理の理解を究極の目標としている。周期的同期発火現象の典型例としてげっ歯類の脳幹に於ける呼吸活動について、その神経ネットワークモデルを構築するために、ニューロンおよびアストロサイトと、それらの集団的活動、神経組織間の相互作用を生理学的手法により解析した。 岡田は、通常のラットより作成した脳幹脊髄標本の延髄断面にカルシウムイメージング法を応用し、多数のニューロンとアストロサイトの活動を同時に計測し、アストロサイトが呼吸に同期した活動を呈することの証明を試みている。まず、ニューロンとアストロサイトとを区別するため、計測された個々の細胞のカルシウム信号パターンの解析とともに、細胞の大きさ、形、さらに計測後に固定した標本の解剖学的解析を試みている。 越久は、GFP蛍光によりニューロンとアストロサイトとを区別できるGFAP-GFPマウスを用い、延髄スライス標本にカルシウムイメージング法により多数のニューロンとアストロサイトの活動を同時に計測し、計測された個々の細胞をニューロンとアストロサイトとに自動的に分類するアルゴリズムの開発を行っている。本年度は、フェニレフリンや高カリウム溶液に対する応答でニューロンとアストロサイトを弁別できるかどうかを検討した。 染谷は、岡田らが計測・撮影したカルシウムイメージの動画像解析を実施し、ニューロンとアストロサイトの自動判別技術の構築を試みている。まず、静止画像の各ピクセルに対する特徴量解析を行い、クラスタリング技術を適用することでニューロンおよびアストロサイトを抽出し、細胞の大きさに基づく自動判別の実現可能性を検証した。 田村は引き続きMAPLE等のソフトウェアを用いてシミュレーションの方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「ニューロンネットワークとアストロサイトネットワークの機能的相関から脳の動作原理を解明する。」を達成するために、順調に研究が進んでいる。論文発表 5件、口頭発表6件という成果発表も行っていることから、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に書いた「計測規模の拡大し、より多数(各500~1000個)のニューロンとアストロサイトを同時計測の対象とし、その内部に複数のニューロンアセンブリおよびアストロサイトアセンブリを含む大規模ニューロンネットワークおよびアストロサイトネットワークの機能的相関を解析する。」の他に、成果のところでも説明したように、GFAP-EGFPトランスジェニックマウスを用いて、アストロサイトに発現するGFAP-EGFP蛍光を教師信号とするサポートベクターマシン法による二者の弁別を試みる。低酸素後短期呼吸増強の機序をさらに解明するため、低酸素刺激後の延髄孤束核におけるアストロサイトとニューロンの機能的、解剖学的相関を詳細に解析する予定である。平成26年度は、GFAP-EGFPトランスジェニックマウスを用いて、アストロサイトに発現するGFAP-EGFP蛍光を教師信号とするサポートベクターマシン法による二者の弁別を試みる。また、時系列情報を考慮した解析への発展も試みる。また、動物およびヒトにおいて、低酸素刺激により呼吸増強を起こすと、低酸素刺激を中止した後も呼吸増強が持続する現象について、in vivoマウスでの薬理実験を行ない、低酸素刺激が呼吸ニューロンを興奮させ、興奮したニューロンがアストロサイトを活性化させるが、一旦活性化したアストロサイトは持続的にニューロンを興奮させるため、元の刺激がなくなっても呼吸増強が持続すると考察しているが、この考察に基づくモデルは、アストロサイトを中心とする神経ネットワークの可塑性、記憶のメカニズムを説明しうるかどうかについて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
順調に実験も行っているが、集中的に行った方がよいと判断の下、最終年度に実験を行うことにしたため。 25年度の執行残額については、実験用の消耗品の購入に主にあてるとともに、解析用ソフトウェアの整備に用いる。26年度の当初配分額については、計画通り、消耗品の購入や研究成果公表等のための旅費として用いる。
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Research Products
(11 results)