2012 Fiscal Year Research-status Report
統合的な視覚計算論と国際標準仕様に従う数理モデル開発
Project/Area Number |
24500371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐藤 俊治 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 准教授 (50333844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚モデル / OpenRTM / プラットフォーム / 初期視覚野 |
Research Abstract |
視覚は時空間特徴計算,シーン解析,物体認識など様々な機能から構成されているため,視覚全体のモデルは必然的に個々の視覚機能や細胞モデルからなる複雑な集合体となる.これまでにも個々のモデルが提案されシミュレーションによりその妥当性が評価されてきた.しかし,C/C++,python,JAVA,MATLABなどの異なるコンピュータ言語で記述されていたり,異なるデータフォーマットでモデル入出力が記述されてきたために,複数のモデルを結合・シミュレーションを行うことはできなかった. 本課題ではこの問題を解決するために,ロボット工学のプラットフォームであるOpenRTMを基盤とした国際標準仕様に従うモデル開発・共有・シミュレーションプラットフォームを開発し,実際に新しい数理モデルが構築できることを示す. 本年度は,OpenRTMが対応していなかったMATLAB言語で記述されたモデルを動作させるための手段を調査検討した.見出した手段を用いて実際に,MATLABで記述された網膜→V1細胞→MT/MST細胞のモデル(SimoncelliとHeegerによる時空間特徴計算モデル)を約1か月の短期間で構築できることを示した.また,データ可視化は本年度の重要課題であったが,MATLABへの対応により豊富なデータ可視化ツールを十何に用いることができるようになった. さらにSimoncelliらによるモデル特性が,最新の神経生理学的知見と一致しないことから,OpenRTM上でモデルの修正を試みた.具体的にはMT/MSTモデル内の細胞に,方向選択性に関する抑制信号を導入すると,神経生理実験で確認された「遅い速度で移動する視覚刺激がMT/MST細胞を抑制する」という全く新しい計算論とモデルが得られた.なおこの知見やモデルを得る際に,前述のデータ可視化ツールが重要な役割を果たした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の課題はプラットフォーム構築の継続,データ可視化,数理モデルの構築であったが,いずれも実施することができた.特に,モデルの一部を修正することで新しいモデルが構築できたことは,本研究が単なるソフトウェア開発だけではなく,実際に科学的に新しい知見が得られることを示している.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展していることから,当初の計画に沿った研究を遂行していきたい.本課題の代表者は,視覚関連データベースである Visiome Platform の委員長であることから,本データベースへの貢献,拡張も含めて研究開発を遂行していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度後半より,視覚数理モデル構築に必要な機能を追加すべくソフトウェア開発を業者とともに行っている.ソフトウェア仕様はすでに完成しており,6月に納期予定である.繰越金を本開発にあてることで,より良い研究資源の作成を目指す. その他,本研究は多数の研究者への周知,試用,フィードバックが必要であることから,学会参加やウェブページの構築などに必要な経費の支払を予定している.
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