2014 Fiscal Year Annual Research Report
発現変動情報を元にしたショウジョウバエ変異体解析による嗅覚記憶制御分子機構の解明
Project/Area Number |
24500376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 智史 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (10463902)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 記憶 / 遺伝子 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
新規の記憶遺伝子として同定したrgk1の解析を行った。Rgk1のsmall-GTPaseの必要性を調べるため、このドメインを欠いたコンストラクトと、このドメインにsingle mutationを持たせたコンストラクトを作成し変異体レスキュー実験を行ったところ、どちらとも表現系の回復能を示さなかった。したがって記憶形成において、Rgk1は、RasやRacなどのようにsmallGTPase活性により細胞内シグナル因子として働いていると考えられる。 Rgk1-GFP融合タンパクを作成し神経細胞内での局在を観察した。野生型Rgk1はシナプスに局在し樹状突起には見られなかった。一方で、Rgk1のN末側に存在する機能未知のドメイン(N1 domain)を欠損させたコンストラクト(delta-N-Rgk1-GFP)は、シナプスではなく樹状突起に局在が見られた。Rgk1がvoltage-gated-calcium-channelを介して神経活性を制御しているという報告 (Puhl III, et al, 2014)と、樹状突起におけるカルシウムシグナルのコンパートメント化が記憶形成に重要であるとの最近の報告(Cichon et al., 2015) と合わせて考えると、記憶形成過程においてRgk1が神経細胞内におけるシグナルのコンパートメント化(あるいは限局化)に働いている可能性が示唆される。N1 domainが無くsmall-GTPaseドメインのみを持つコンストラクトによって変異体の記憶障害を回復させることができたが、条件付け後にcold shockを行うプロトコールでは記憶能の回復が見られなかった。したがって、よりdemandingな条件における記憶維持には、N-domainを介したRgk1のシナプスへの局在が重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)