2012 Fiscal Year Research-status Report
脊髄小脳失調症I型における複合体タンパク質プロテオーム解析による分子病態の解明
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24500378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田川 一彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (80245795)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリグルタミン病 / 脊髄小脳失調症I型 / アタキシン1 / 複合体タンパク質 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
ポリグルタミン病である脊髄小脳失調症I型(SCA1)は原因遺伝子産物アタキシン1(Atxn1)におけるCAG/ポリグルタミンの異常伸長を原因とするが、その分子病態は未だ不明な点が多い。我々はオミックス研究よりこの病態を抑制する標的タンパク質を同定し、ポリグルタミン病モデル系を用いてその病態の改善を報告してきた。本研究計画では、Atxn1が形成する複合体を網羅的にプロテオーム解析を行い、神経変性に至る前のニューロンの機能障害に関わる複合体タンパク質を同定および定量し、SCA1病態への効果について疾患モデル系を用いて検証する。複合体を形成しているタンパク質のみを対象とする網羅的解析であることが本研究の特徴である。 実施状況については、最初の標的であるAtxn1複合体タンパク質について、当初ゲルろ過クロマトグラフィーにより得られる高分子画分の定量的ショットガン・プロテオーム解析によりその候補分子を得る計画であったが、特定の画分に再現性よくAtxn1(あるいはその複合体)が分画できていない。実験条件の至適化を目指しているが現在まで達成できていない。他のクロマトグラフィーによる検討も始めているが、計画を一部修正し、細胞画分を全て解析する計画から核画分のAtxn1複合体タンパク質を得ることに集中する。更に、達成できない場合を想定し、計画修正案としてリン酸化タンパク質に標的を変更した定量的ショットガン・プロテオーム解析を平成25年度に行う。この解析法は、当研究室の別の課題で確立しており、技術的な問題点は少ないと考えている。 本研究計画で得られる標的タンパク質の知見は、治療法開発において発症前あるいは発症初期の分子作用点となりうる可能性が高いと考えており、治療および予防法の開発に貢献することが最終的な目標である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画における最初の標的であるAtxn1複合体タンパク質を再現性よく特定の複合体として得られていないことが原因である。ゲルろ過クロマトグラフィーにより得られる高分子画分の定量的ショットガン・プロテオーム解析によりその候補分子を得る計画であったが、現在実験条件の至適化を目指しているが現在まで達成できていない。他のクロマトグラフィーによる検討も始めているが、細胞の各画分に対して解析する計画であったが、計画を一部修正し核画分のAtxn1複合体タンパク質を得ることに集中する。さらに、達成できない場合を想定し、計画修正案としてリン酸化タンパク質に標的を変更した定量的ショットガン・プロテオーム解析を平成25年度に行う。この解析法は、既に当研究室の別の課題で確立しており、技術的な問題点は少ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にも記載したように、対象を核内のAtxn1複合体タンパク質に絞りこみ、実験の最適化を達成する。また、同時進行としてリン酸化タンパク質に標的を変更した定量的ショットガン・プロテオーム解析を行う。この修正計画により、本研究計画の最大の目的である治療法開発における分子作用点の候補を得ることを達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の達成が遅れているため、試薬、プラスチック製器具の一部を平成25年度に購入する。 変更の内訳は(金額単位:千円)、試薬を333から478へ、プラスチック製器具を400から500へ変更する。
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