2013 Fiscal Year Research-status Report
嗅球の神経回路新生を支える血管-神経相互作用の解析
Project/Area Number |
24500385
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 弘雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20390685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 誠一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90360669)
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Keywords | 嗅球 / 新生ニューロン |
Research Abstract |
匂いの情報処理を行う嗅球の介在ニューロンは、神経細胞としては例外的に、成体の脳内でも新生することが知られる。新たに生まれた細胞が、生涯に渡って嗅球の既存の神経回路へと組み込まれる。そこで本研究は、嗅球における血管と神経との相互作用に着目し、嗅球の神経回路新生を支える分子メカニズムの解明を目的とする。 これまでの研究により、嗅球内を目的地に向けて移動する新生介在ニューロンには、①血管に沿って移動する細胞と、②血管から離れて移動する細胞がいることが明らかとしている。また、嗅球介在ニューロンの内、嗅球の内側で止まる顆粒細胞では、特異的に複数の受容体チロシンキナーゼEphAレセプターが発現することを見出している。 そこで本年度は、嗅球介在ニューロンの移動過程におけるEphシグナルの役割について、解析を行った。新生介在ニューロンで発現の見られたEphAやephrinを、エレクトロポレーション法による遺伝子導入法を用いて過剰発現させた場合の影響を検討した。その結果、EphAを過剰に発現させた新生介在ニューロンは、嗅球の内側で移動を止め、逆にephrinを過剰に発現させたニューロンは、嗅球の外側まで移動する傾向が見られた。これらの結果から、Ephシグナルが新生介在ニューロンの目的地の決定に、重要な役割を果たす可能性が示唆された。今後は、嗅球介在ニューロンの移動制御のメカニズムについて、さらに詳細な解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、新生ニューロンの嗅球内での移動制御に関わる候補分子も見出すことがきた。今後、さらに新生介在ニューロンの移動メカニズムについて、分子レベルで解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、介在ニューロンの嗅球内の移動に受容体チロシンキナーゼEphAファミリーが重要な役割を果たすことを明らかとした。今後さらに、新生介在ニューロンの移動におけるEphAレセプターの機能について、Ephレセプターのノックアウトマウス等を用いて、分子レベルで解析を行っていく予定である。
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