2013 Fiscal Year Research-status Report
恐怖記憶及び覚せい剤依存形成に関わるRPTPの役割
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24500390
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
藤川 顕寛 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 特別協力研究員 (50414016)
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Keywords | リン酸化 / チロシンホスファターゼ / 覚せい剤 / 心的外傷後ストレス障害 / シナプス / 薬物依存 / 神経 / 受容体 |
Research Abstract |
本課題では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の学習モデルとして用いられるマウスの恐怖記憶形成、また覚せい剤に対する嗜好・依存形成に関わる受容体チロシンホスファターゼPtprzのシグナル伝達機構を明らかにする。また恐怖記憶および覚せい剤依存が本分子の阻害によって抑制されるのか実証試験を行う。 前年度までに、野生型マウスとPtprz欠損マウスの脳組織を用いて、学習刺激や覚せい剤刺激後のPtprzの基質タンパク質のチロシンリン酸化状態を評価した。脳組織と同様のプロテオグリカン型Ptprzを発現している細胞系が見いだされた。これにドーパミントランスポーター(DAT)を安定的に発現した細胞株を樹立し、DATの機能の細胞評価系として用いることにした。 当該年度は、シナプス機能へ関与するPtprzの基質分子であるGit1の分子機能が、Ptprzの脱リン酸化サイトであるチロシン残基のリン酸化によって制御されることを培養細胞を用いて明らかにした(論文準備中)。学習試験時のマウスの海馬に薬物の微量投与を行い、Ptprz活性の抑制が恐怖記憶の減弱に関わるのか評価を開始した。前年度作出したDAT安定発現細胞を親株とし、Ptprzに対するshRNAを用いて内因性に発現しているPtprzをノックダウンした細胞株を新たに樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度、動物飼育室の移動という予定外の事態が生じた。そのためノックアウトマウスが十分数使用できず、マウス脳内におけるPtprzの基質分子群のリン酸化解析や組織解析などが遅れた。その一方で培養細胞レベルの解析は順調に進み、Git1のチロシンリン酸化の機能的意義についての論文を執筆している。DAT安定発現細胞と供に、Ptprzのノックダウン細胞株も樹立し、PtprzシグナルによるDATの制御機構の解析に目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス供給は通常状態まで回復してきた。マウス脳内への薬物微量投与を行い、恐怖記憶及び覚せい剤依存形成に対するPtprz抑制の効果を評価する。また脳内におけるPtprzの基質分子群のリン酸化解析や組織解析を急ぐ。前年度作出したDAT安定発現細胞(親株)とPtprzノックダウンした細胞株を用いてPtprzがGit1を介してDATを制御することを明らかにする。最終年度までの成果を論文にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末3月に納品した一部物品(56,558円分)について、事務方での支払い処理が完了しなかった。 年度末に支払い処理が完了しなかった物品(56,558円分)について、次年度の使用額として計上する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] SPIG1 Negatively Regulates BDNF Maturation2014
Author(s)
Suzuki, R., Matsumoto, M., Fujikawa, A., Kato, A., Kuboyama, K., Yonehara, K., Shintani, T., Sakuta, H., Noda, M.
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 34
Pages: 3429-3442
DOI
Peer Reviewed
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