2013 Fiscal Year Research-status Report
神経軸索ガイダンスの方向極性を制御するエンドサイトーシス調節因子の同定
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24500393
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸島 拓郎 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00373332)
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Keywords | 軸索ガイダンス / 成長円錐 / カルシウム / エンドサイトーシス / クラスリン / PIPKIgamma90 |
Research Abstract |
神経回路形成過程の神経軸索先端部に現れる成長円錐は、細胞外環境に呈示される多彩な軸索ガイダンス因子の濃度勾配に応じて自身の運動性を変化させ、軸索を正しい標的まで牽引する。研究代表者はこれまでに軸索ガイダンスの分子機構を解析し、Ca2+シグナルにより誘起される成長円錐片側でのエクソサイトーシスとエンドサイトーシスのバランスによって軸索の旋回方向(誘引/反発)が決定されることを解明してきた。また、Ca2+下流においてエンドサイトーシスの促進と抑制を担う分子としてそれぞれカルシニューリンとCdk5を同定した。本課題では、カルシニューリンとCdk5により拮抗的リン酸化制御を受けるエンドサイトーシス調節因子を同定することを目的としている。これまでに、エンドサイトーシス調節因子の候補としてPIPKIgamma90に着目し、研究代表者が実験試料として用いているニワトリの脳組織からPIPKIgamma90をクローニングすることに成功していた。そこで本年度は、まずニワトリ脊髄後根神経節細胞におけるPIPKIgamma90タンパク質の発現を抗体染色法により確認した。続いて、PIPKIgamma90のkinase-dead変異体を作成し、成長円錐におけるエンドサイトーシスと旋回運動に対する寄与を検証した。その結果、反発性Ca2+シグナルに応じて誘起されるエンドサイトーシスの非対称性および成長円錐の反発性旋回運動にPIPKIgamma90のkinase活性が必要であることが示された。一方、成長円錐の誘引性旋回運動にはPIPKIgamma90 kinase活性は必要無かった。さらに、内在性PIPKIgamma90のsiRNAノックダウンによっても同様の結果を得た。以上の結果から、PIPKIgamma90が成長円錐の旋回方向を決定するエンドサイトーシス調節因子として機能することが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、本課題のメインテーマであるエンドサイトーシス調節因子の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も基本的には研究計画書どおりに研究を遂行して行く予定である。具体的には、PIPKIgamma90活性により生成されるPIP2の可視化プローブである蛍光タンパク質標識PLCdelta-PHを生きた成長円錐に発現させた上で全反射蛍光顕微鏡法により観察し、形質膜直下におけるPIP2合成の時空間動態を可視化する。成長円錐の旋回運動を引き起こすCa2+シグナルに応じて、PIPKIgamma90依存的なPIP2量の変動が実際に起こるかどうかを検証する。
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Research Products
(8 results)