2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500396
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
黄田 育宏 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能計測研究室, 主任研究員 (60374716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徹 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80261361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 味覚 / fMRI / 光イメージング / 島皮質 / 脳循環 / 脳機能 |
Research Abstract |
本研究は、実験動物(ラットやマウス)を対象とし、超高磁場(7テスラ)磁気共鳴画像法(MRI)および光イメージングを利用して、基本味に対する大脳味覚野での空間的な活動パターンや大脳味覚野への軸索投射の形態的・機能的なネットワークを検討し、味覚中枢情報処理機構の解明を目的としています。 光イメージング法では、左右大脳味覚野の活動パターンを測定できる実験系の確立を行いました。測定対象のラット大脳味覚野は側頭部にあるため、同一の実験動物で左右大脳味覚野を測定するには体軸回りで回転させる必要があります。また、大脳味覚野は頭頂部から深い位置にあるため、光イメージングを用いて測定するにはラットを実体顕微鏡下において、頭部を傾けて測定する必要があります。実際には、ラットが真横になる程度(ほぼ90度)まで傾けないと測定できず、また、その状態まで左右回転させるので、そのスペースを必要とすることが分かりました。今年度は、実体顕微鏡下で回転できるスペースを確保すると共に、実験動物頭部固定器の改良を行いました。それにより、味覚刺激に対する大脳味覚野における応答の測定を可能としました。また、コンピュータ制御のバルブコントロールシステムを使用することにより、画像の取り込みと味覚刺激を同期させ、大脳味覚野の応答を正確なタイミングで測定できるようにしました。 MRIでは、大脳味覚野の左右対称性を確かめるために、その周囲の大脳血管網の走行パターンを検討しました。通常MRIで行われる血管造影法は主に流れの速い動脈を描出するため、比較的流れの遅い静脈を描出できません。そこで、異なる吸入ガスを使用することで血中の酸素飽和度と血流速度を変化させ、その差から静脈の描出に成功しました。それにより、大脳味覚野の基準点である中大脳動脈と嗅静脈の交点の観察に成功しました。これにより、基準点の左右差が明らかとなりました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画は、ほぼ達成することができました。 光イメージングを用いた大脳味覚野の測定では、予想以上にラット頭部を傾ける必要があったため、頭部固定器の改良に時間を要しました。また、両側大脳味覚野の測定には、手術の迅速化と正確性が必須であり、その習得に時間を要しました。しかし、最終的には、味覚刺激に対する大脳味覚野の応答を測定することができ、今年度の目標を達成しました。 MRIでは、血管造影に用いられるTime-of-flight法によって、注目する部位を造影できると期待しましたが、流れの遅い静脈側の描出は思った以上に困難でした。そこで、撮像パラメータの最適化とラット呼吸状態を変化させることで静脈の描出に成功し、血管網つまり大脳味覚野の左右対称性を明らかにし、目標を達成できました。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度と同様に、研究実施計画を達成できるように研究を推進します。具体的には、平成24年度に確立した光イメージング実験系を用いて、異なる味覚刺激による応答パターンを測定していきます。MRIでは、新たな血管造影法と共に白質線維束ネットワークを測定し、その関係について検討する予定です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
英文校閲にかかる予算が少なかったため、約10000円の残額が生じた。今年度の物品(消耗品)購入にあてる予定です。
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