2012 Fiscal Year Research-status Report
APP代謝及びAβ産生機構におけるATBF1の機能解析
Project/Area Number |
24500402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鄭 且均 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00464579)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / ATBF1 / APP代謝 / Aβ産生 |
Research Abstract |
最近の研究では、アルツハイマー病(AD)の原因遺伝子であるアミロイド前駆体タンパク質(APP)が代謝・運送の異常を起こすことで、アミロイドβ蛋白(Aβ)産生の変化が起こり、ADの発症に深く関わっていることが報告されている。従って、APPの代謝機構を明らかにすることはADの発症原因解明に重要である。最近、我々はATBF1(AT-motif binding factor1)が AD脳の神経細胞の細胞質で過剰発現することを発見した。本研究ではAPP代謝及びAβ産生におけるATBF1の機能を明らかにすることによって従来知られていなかった新たなAPP代謝、Aβ産生制御系の解明を目的とする。 本年度は、APP安定発現細胞(HEK293-APP細胞)へATBF1のノックダウン(siRNAを利用)またはATBF1 cDNAを導入し、Aβ量(ELISA法)、ADの分子病態に関連する分子群の発現、ATBF1及びAPPの細胞内の局在変化などを調べた。HEK293-APP細胞にATBF1をノックダウンさせるとAβ量が有意的に減少した。また、その細胞にATBF1を過剰発現させるとAβの産生が促進された。しかし、ATBF1の過剰発現はADの分子病態に関連する分子群(α及びβ、γセクレターゼ)の発現には影響しなかった。さらに、HEK293T細胞やSH-SY5Y細胞にATBF1とAPPを過剰発現させた後、ATBF1及びAPPの細胞内局在の変化をゴルジ体、エンドソーム、ライソゾーム特異的な抗体を用いて調べた結果、導入されたAPPはATBF1と結合することでエンドソームに運送されることが分かった。 以上の結果から、細胞質でATBF1が過剰発現することでATBF1がAPPと結合し、β及びγセクレターゼの活性が高いエンドソームにAPPを運送させることでAβ産生が促進されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の目的はAPP代謝及びAβ産生におけるATBF1の機能を明らかにすることによって従来知られていなかった新たなAPP代謝及びAβ産生制御系の解明を目的としている。APP代謝及びAβ産生におけるATBF1の機能解析のため、本年度は細胞レベルとATBF1ノックアウトマウスの解析という2つの実験計画を立てて行う予定であった。 まず、細胞レベルの実験では計画とおり行い、ATBF1の過剰発現によってβ及びγセクレターゼの活性が高いエンドソームにAPPを運送させることでAβ産生が促進されることが分かった。しかし、ATBF1ノックアウトマウスを用いた実験では、ATBF1ノックアウトマウスは生後直後で死亡していることが分かり、今後ATBF1ヘテロ (+/-)とADモデルマウスであるAPPトランスジェニックマウスの交配マウス作製を開始し、このマウスを用いてAβ量とADの分子病態に関連する分子群の発現量解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ATBF1分子上のAPP結合ドメインおよびAPP分子上のATBF1結合ドメインを決定する。 私たちの予備実験でATBF1がAPPの細胞質ドメインに結合していることが分かったので、ATBF1とAPPの相互結合ドメインを決定するため、次の実験を行う。①ATBF1分子を部位別に10種類の断片の強制発現ベクター(HA-tag付き)を準備する。その後、ATBF1の各断片とAPPをHEK293T細胞に発現させ、免疫沈降法によりATBF1分子上のAPP結合ドメインを決定する。②APP細胞質ドメインの部分欠損発現ベクター(Flag-tag付き、4種類が完成している)とATBF1発現ベクターをHEK293T細胞に発現させ、免疫沈降法によりAPP分子上のATBF1結合ドメインを決定する。 2)ATBF1ヘテロ (+/-)とAPPトランスジェニックマウスとの交配マウスの解析。①脳の形態及び脳内のAβ量を免疫染色、ELISA法で調べる。②Aβ量の解析;脳組織から可溶性Aβと不溶性Aβを抽出し、それぞれのAβ量をELISA法で定量する。また脳標本を用いてAβ抗体による免疫染色を行い、Aβ沈着の数や大きさを評価する。③APPの細胞内局在を検討する;脳標本を用いてAPPの局在をAPP抗体とゴルジ体、エンドソーム、ライソゾーム特異的な抗体を用いて二重蛍光染色することで確認する。④脳組織またはこのマウスから神経細胞を分離し、分子病態に関連する分子群の発現量をreal-time PCR及びウェスタンブロティングにより定量する。⑤モリス水迷路学習試験による認知機能のテストを行うことで学習能力を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本人は平成24年10月1日より国立長寿医療研究センターから名古屋市立大学大学院医学研究科・脳神経生理学に異動することになり、新しい研究室での実験の立ち上げの準備のため当初予算より未使用研究費が生じた。この研究費は次年度の研究費と合わせて執行する予定である。 次年度の研究費の使用計画 次年度からの研究費の執行に関しては、主に実験に必要な消耗品代として約100万円、研究成果の発表のため学会参加に約30万円、その他に約30万円を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)