2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 清司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30243124)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / タイトジャンクション / ペプチドホルモン分泌 / 血管新生 / 神経新生 / TRPV1 |
Research Abstract |
脳の血管系は、血液のイオン・ホルモン・アミノ酸などが透過して神経細胞などに影響を及ぼさないように、血液脳関門という特殊なバリヤー機構を有している。しかし、脳室周囲器官では、タイトジャンクションタンパクが発現せず血液脳関門が存在しない。これにより、血液末梢情報を直接的に感知することができるので「脳の窓」ともいわれている。従来、脳室周囲器官は末梢組織と同様の部位であると考えられてきたが、申請者は、新たに以下の事実を見出した。 1)脳室周囲器官では、血管内皮細胞の増殖とアポトーシスを伴う持続的血管新生起きている。 2)脳室周囲器官では、神経幹細胞が存在し、血管新生と並行して神経新生が生じている。神経幹・前駆細胞は周辺に密着して存在し、血管との相互作用がある。 3)脳室周囲器官での高分子分子の血管透過性は、末梢組織に比べ顕著に低い。また、低分子分子の血管透過性は、終板器官、脳弓下器官, 最後野などの感知系では、正中隆起や下垂体後葉などの分泌系および末梢組織に比べて低かった。これは、下垂体後葉や正中隆起では、低分子ペプチドの分泌のために血管透過が高いためと考えられるが、感知系脳室周囲器官では血液情報の検出に最低限の血管透過性があれば良いためであると考えられる。 4)脳室周囲器官のアストロサイトには、TRPV1受容体が発現しており、血管あるいは脳内の情報を直接的に感知している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脳室周囲器官における血管内皮細胞の増殖とアポトーシスさらにフィロポディアの存在を証明することで、血管新生を証明することができた。さらに、血管新生と並行してこの部位では神経新生が生じていることや血液情報の感知機構としてTRPV1が関与することも証明できた。よって、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
脳室周囲器官での血管新生が生じていることは証明できたので、血管新生の意義について検討を行う。まず、VEGFやPDGFなどの血管成長因子の関与を調べ、これらの因子を阻害した場合あるいはリコンビナントタンパクで活性化した場合に血管新生がどのように変動するか調べる。次に、血管新生の変化に伴い、血液情報感知や分泌がどのような影響を受けるか調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)