2014 Fiscal Year Research-status Report
プルキンエ細胞樹状突起シナプス構築形成過程における入力線維交替現象
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24500413
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10223091)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シナプス / 樹状突起 / プルキンエ細胞 / 代謝性グルタミン酸受容体 / 登上線維 / 平行線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度までにおこなったプルキンエ細胞のシナプス構築の形成過程のデータを解析を中心に行った。 昨年度までに、プルキンエ細胞上では、平行線維シナプスと登上線維シナプスが生後15日までは樹状突起上で高密度に混在するが、生後20日までにシナプスの刈り込みが起き、樹状突起近位部が登上線維シナプス、遠位部が平行線維シナプスが分布する分節したシナプス構築が形成される、ことを明らかにした。 今年度は、その刈り込みを引き起こす分子メカニズムの解明を目指した研究を行った。以前の研究データから、代謝性グルタミン酸受容体1型(mGluR1)の系に着目した。mGluR1の遺伝子欠失マウスの解析を行うと同時に、その系の下流にあるC型蛋白リン酸化酵素γサブニット(PKCγ)の遺伝子欠失マウスのシナプス構築を、昨年度後半に調べた。今年度は、それらの詳細な解析を行った。その結果、mGluR1とPKCγが遺伝し欠失させたマウスでは樹状突起が生後15日以降でも成長するものの、登上線維はほとんど進展せず、樹状突起の近位部にある平行線維シナプスは生後30日以降でも存在した。また、mGluR1の遺伝子欠失マウスの方が、PKCγ遺伝子欠失マウスよりも残存する平行線維シナプスの数が多かったことから、PKCγ以外の系、IP3の関与する系も平行線維シナプスの刈り込みに関与していることが示唆された。生後すぐに登上線維を除去した場合、あるいはP/Q type Ca チャンネルの遺伝子欠失をおこしたマウスでも樹状突起近位部に平行線維シナプスが残存することからCaも関与することが推定される。今後、それらのことを踏まえて解析を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの結果をもとに、シナプス構築形成過程の分子メカニズムの関与をおこなっており、研究計画を越えた内容の研究になりつつある。しかし、成果発表については、研究計画でたてた進度よりも遅い点で「概ね」である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、成果公表に力点を置いている。また、本研究から得られたデータをもとに新たなプロジェクトを打ち出す予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度、成果公表として論文を投稿したが査読中のまま昨年度を終えてしまった、そのため論文投稿費として次年度に使用するために次年度使用額を生じさせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
原則として、論文投稿費として用いる予定である。
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Research Products
(2 results)