2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
樋田 一徳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40253405)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 脳神経回路 / 単一ニューロン標識 / 嗅球 / シナプス |
Research Abstract |
当該年度は、嗅球におけるセロトニン(5-HT)ニューロンの全貌と線維分布の解析した。動物はC57BL6系及び各種transgenic mouseを用いる。また以下のような連携研究者として、金子武嗣(京都大学教授)、倉本恵梨子(京都大学助教)研究協力者として清蔭恵美(川崎医科大学講師)が参画し研究を遂行した。 1.5-HTニューロンの全貌 (1) 線維分布:5-HT免疫染色標本の三次元的解析(樋田;清蔭講師の協力):抗5-HT(or抗5-HT transporter)抗体を用い5-HTニューロンの脳内線維分布を解析する。更に嗅球各層内の5-HT線維群の三次元構造を、lucivid により三次元的に連続切片越え再構築し解析する。切片越え再構築は研究協力者・清蔭博士の協力を得る。 (2) 5-HTの完全再構築:単一ニューロン標識(樋田;京都大・金子教授、倉本助教と連携);biotynylated dextran (BDA)及びsindbis virus によるpalmitoylation signal(pal-GFP, pal-mRFP)を組み込んだrecombinant sindbis virus を用い縫合線核in vivo injectionによる脳定位標識を行い、単一5-HTニューロンを完全再構築する。 2.5-HTニューロンと異種ニューロンとの相互関係(樋田):抗5-HT抗体と、calbindin (CB)、calretinin (CR)、olfactory marker protein (OMP)、parvalbumin (PV)に対する各種抗体、及びtyrosine hydroxylase (TH)、GABA、GAD65 & 67はGFP標識各種遺伝子改変マウスによる多重蛍光標識を行い、レーザー顕微鏡で5-HTニューロンについて三次元定量解析により検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は順調に解析が進み、以下の結果を得た。 (1)京都大学金子教授及び倉本博士戸の密接な連携により、ウイルス導入による単一ニューロンを標識は成功した。更に標識したニューロンは、基金により導入した顕微鏡描画装置Lucividにより三次元構造解析が進んだ。 (2)免疫組織化学法を組み合わせた結果、縫線核から嗅球に投射するニューロンがセロトニン作動性ニューロンであることを確認した。これによって、縫線核から嗅球に投射するセロトニンニューロンの全貌、及び投射途中の通過経路の詳細が明らかとなった。 (3)嗅球内のセロトニンニューロンは、外網状層では比較的分枝は少なく、一方、顆粒細胞層では比較的分枝し、表層の糸球体層では複雑な分枝構造を呈していた。 (4)免疫電子顕微鏡法による微細構造解析により、セロトニンニューロンは嗅球の各層で数珠状の構造を呈し、その部分で多くはシナプス結合をしていることが分かった。そのシナプスは、単一の神経突起状に連続的に異なる層で形成していることが分かり、異種のニューロン群へのシナプス入力が推測される。なお、シナプスの携帯は、電子線トモグラフィー解析により、異なる径の球状の小胞を含む非対称性シナプスであることが分かった。 今後更に、シナプスターゲットニューロンの同定を行う予定である、
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り、セロトニンニューロンの単一標識に基づく解析を更に進める予定である。そのために、引き続き解析に必要な消耗品を中心とした物品を購入する予定である。これにより、実験を更に重ねて、より正確かつ詳細な研究データの取得に努める。また初年度にできなかった海外研究協力者との打ち合わせのために渡米し、研究データの相互討論を試みる。また、以上の解析結果を、国内外の学会で発表し、その成果に基づき論文発表を行う。以上が、今後の研究推進の方策である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に当初予定をしていた海外研究協力者(米メリーランド大学医学部・シプリー教授、プシェ准教授)との打ち合わせを、研究遂行の上でその時期に適切でなく平成25年度以降に渡航を予定変更したため、平成24年度の研究経費のうち約16万円を繰り越した。このため、この繰越額を含めた平成25年度の経費を海外研究協力者との打ち合わせのための渡航に充て、更に前述のように、研究計画遂行のための実験を目的に、消耗品を中心とした物品の購入を中心とする。また可能な限り国内外の学会発表のための旅費に充てる予定である。以上が研究遂行のための使用計画である。
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