2012 Fiscal Year Research-status Report
虚血性脳損傷による血液脳関門機能破綻に対する抗酸化ペプチドの保護作用
Project/Area Number |
24500423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
卜部 貴夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (60291663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下澤 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳虚血 / 白質障害 / 血管内皮細胞 / 血液脳関門 / アドレノメデュリン / 抗酸化ペプチド / 酸化ストレス / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は虚血性脳損傷による出血性障害と認知障害のメカニズムに関して,抗酸化ペプチドを標的分子として酸化ストレスと白質障害および血液脳関門(BBB)機能破綻の病態との関連を解明し,ペプチドを利用した防御法の確立を目標として立案した. 平成24年度は野生型マウスおよびアドレノメデュリンノックダウンマウスの脳虚血モデルを用いて,血管内細胞障害に関して免疫組織化学的に比較検討を行った. 正常マウスにおけるアドレノメデュリン受容体の局在を免疫組織化学的に検証した.その結果,血管内皮細胞と神経細胞に局在することを確認した.特に脳内の血管では実質内の毛細血管に広く局在しておりBBBの血管側での機能を有することが示唆された.現在,中大脳動脈閉塞・再灌流モデル(急性脳梗塞モデル)および慢性脳低灌流モデルを作製し,アドレノメデュリン受容体の虚血負荷後の経時的発現変化の評価を行っている.さらに加齢マウスを用いてBBBの構成に関わっているアストロサイトの経時変化も検討した.アストロサイトは成獣マウスにおいて加齢により発現が低下する.さらに虚血負荷による反応性は若年群に比して加齢群で低下することを確認した. アドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスの脳虚血モデルを作製し血管内皮細胞機能とBBBに関して検討を行った.AM+/-マウスの急性脳梗塞モデルでは高頻度に脳内出血が合併することを見出している.また慢性低灌流モデルでは時間経過とともに大脳白質障害が進行する.病変の進行に伴い血管内皮細胞における誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の合成が増加し,各種酸化ストレスマーカーと炎症マーカーが増加することを確認した. 以上のことから血管内皮細胞に局在するAMが欠損すると各種細胞障害因子の制御が破綻しBBBが機能障害に陥ることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従い,研究はおおむね順調に進展している.アドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスの1回あたりの供給数に限界があり,電子顕微鏡によるBBBの各コンパートメントの詳細な観察を行うことを予定していたが,24年度には実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は,電子顕微鏡によるより詳細な形態学的変化の検討を進め,慢性脳低灌流における白質障害と血液脳関門(BBB)機能破綻の病態との関連を検証する.BBBの機能を詳細に検証し,In vitro脳虚血モデルを用い血管内皮細胞機能障害に対するアドレノメデュリンの保護メカニズムの解明を進める. 研究を遂行する上での問題点は,1回に供給されるアドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスの数に限界があること.その対策については研究分担者にその都度研究経過を報告し,早めに準備を依頼することで1回の供給数を供給回数で補うようにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は以下の研究計画の下で,アドレノメデュリンと血液脳関門(BBB)機能破綻の病態との関連を検証する. 1.AM+/-マウスの慢性脳低灌流モデル:Shibataら(Stroke 38; 2826-3282, 2007)の作製方法に従い慢性脳低灌流モデル作製する.急性モデルと同様に脂質過酸化代謝産物と酸化的DNA障害脳内蓄積と白質障害の変化関連を免疫組織化学的に評価し,BBBの形態変化を電子顕微鏡で詳細に検討し出血病変の有無および程度を解析する. 2.血液脳関門(BBB)機能の評価:われわれは,エバンスブルーによるBBB機能評価法を確立しており.慢性脳低灌流モデルの虚血負荷早期に血管内皮細胞機能が障害されBBB機能破綻により血管内物質が脳実質内への漏出することを報告している(Ueno Y et al: Neuroscience 162: 317-327, 2009).本手法を用いAM+/-マウスの急性虚モデルと慢性虚血モデルでのBBB機能の評価を行う. 3.In vitro脳虚血モデルによるアドレノメデュリンの検討:アドレノメデュリンノックダウンマウスの大脳皮質神経細胞と血管内皮細胞の培養系を作製する.両培養系に低酸素負荷による細胞障害を惹起させ,AMのシグナル伝達に関与するcAMPを測定し,酸化ストレスマーカーや細胞死のマーカーで評価を行う.さらにアドレノメデュリンを添加することによる効果を同様に評価して比較検討する.
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Research Products
(11 results)